6月10日 風が変わる
港を出て、ポイントを目指す途中に、西からの小さな波が気になった。

「あれっ、西から風波が来ている」

水島沖のポイントに入ると、強い西風と風波で船が流される。

「うわっ、これは風が凄い」

船をチョット移動するたびに、波飛沫が上がるくらいだ。

堀部さん、清水さん、中村さん、内田さん、長田さんが竿を出すが、ラインがドンドン出ていく。

「着底が取れますか」

「厳しいですね」

潮の流れ自体は、下り潮が0.4ノット位なのだが、風が影響してラインが流される。

「暫く、風裏に入りましょうか」

大島の東側に入り、少しでも風を避ける。

ここでも、風は回り込んでくるのだが、着底は取りやすい。

中村さんと、内田さんにアタリが来た。

真鰺が上がってきた。

西風に翻弄される中での、嬉しい最初の一枚だ。

内田さんに強いアタリが来た。

結構な引きを見せて、上がってきたのはオジサン(ウミゴイ)

清水さんにも、強烈なアタリが来た。

「来ました。来ました」

竿先を叩く、鯛独特のアタリの様だ。

しかし、後少しのところで針が外れた。

長田さんにも、強烈なアタリが来たが、やはり途中で針外れ。

真鯛が寄っているのかも知れない。

船上に期待感が広がる。

今度は、堀部さんの竿が、大きく曲がっている。

時折、竿先が突っ込む。

上がってきたのは、キロ超のバラハタだった。

「おおっ、デカイね」

みんなから、祝福されて笑顔が良い。

清水さんにアタリが来た。

真鰺がダブルで上がってきた。

「美味しい鰺がダブル出来ました」と、笑顔が素敵だ。

この頃から、願いが通じたかの様に、西風が穏やかになってきた。

「少し沖に出て、風の様子を見てみましょうか」

船を水深70メートルのアタリに移動する。

西風が穏やかになり、白波も見えなくなっている。

長田さんにアタリが来た。

良型のアヤメカサゴが、上がってきた。

「ホッとしました」と、笑顔。

この頃には、西風も殆ど吹かなくなっていた。

「最初のポイントに移動してみましょうか」

ポイントを移動して、直ぐにベイトを確認する。

ベイトは、立ち上がっている。

潮の流れも、0.5ノット前後と緩やかで、着底も楽に取れる。

堀部さんにアタリが来た。

竿先を小刻みに叩くアタリ。

上がってきたのは、良型のイトヨリ鯛。

このポイントは、イトヨリ鯛も良型がヒットしてくる。

内田さんに、強いアタリが来た。

竿が大きく曲がっている。

「真鯛やろうか」

みんなも期待を込めて、内田さんのやり取りを応援している。

しかし、海面に姿を見せたのは、大きな鮫だった。

船に寄せようとしているところで、針が切れた。

「あーっ、鮫か…」

一遍に肩の力が、抜けてしまった。

今度は、堀部さんにアタリが来た。

またしても、良型のイトヨリ鯛が上がってきた。

「また、イトヨリ鯛や」と、みんなから冷やかされる。

「イトヨリの堀部と呼んで」と、笑顔で返す。

このやり取りが、楽しい。

この後、堀部さんにも鮫がヒットしてきた。

「やった、鮫だ」

堀部さんをからかう声で、船上は賑やかになる。

釣り上げた本人も「何だ、鮫か…」と、ちょっとがっかりの表情だ。

清水さんに強いアタリが来た。

ドラッグ音が鳴り、ラインが引き出される。

「ゆっくり出良いですよ」

そう言って、声を掛けた直後「あっ」と清水さんの声がした。

強烈な突っ込みに、針が外れた様だ。

「今日一番の引きやった」

上げられなかった口惜しさが、こちらにも伝わってくる。

清水さんに、次のアタリが来た。

上がってきたのは、良型のガンゾウヒラメ。

「ヒラメが釣りたかった」と、笑顔が良い。

長田さんにも、強いアタリが来ている。

ゆっくりと引きを楽しみながら、上がってきたのは良型のイトヨリ鯛。

中村さんに、強いアタリが来た。

竿先を叩くアタリだ。

「真鯛かも知れませんね」

タモの用意をしていると「あっ…」と声がした。

今日の真鯛と思われるアタリは、食いが浅い様だ。

仕掛けを上げてみると、針は着られていない。

午後になると、南東の風が強くなってきた。

「白波も出てきましたね」と、南東の風を気にしていると堀部さんにアタリ。

上がってきたのは、又してもイトヨリ鯛。

「イトヨリやった」と、みんなに笑顔が広がる。

本日の締めは、堀部さんのイトヨリだった。

南東の風が、徐々に強くなり波も立ち始めたこともあり、帰港した。