開進丸
8月29日今日も、南西の風強し(午前も午後も)
「今日も沖合には、出られないかもしれません」
出船前の会話が、最近は決まり文句みたいになっている。
「出られない時は、タチウオに専念しましょう」
午前便の小池さん、福ちゃんに、天気を含めた現況を説明する。
最初は、タチウオから入る事にした。
夜明け前にポイントに入ると、既にボートが3隻来ていた。
他人の釣果は、やはり気になるが、どうなんだろう。
ベイト反応のある処から、釣り開始。
直ぐに、小池さんにアタリが来る。
福ちゃんにも、ボツボツとアタリが来ている。
指3本クラスが、当たっている。
しかし、アタリの出方にも、最近は斑が出始めている。
当たるときは連発するが、アタリが出なくなったら、暫く続く。
そんな悪条件の元は、潮の動きが悪い事に起因しているように思える。
沖合の潮も、やはり動きが悪い。
潮速を見ているが0.2ノット前後と、船は流れず一カ所に留まっている感じだ。
それでも、休まずにジグをシャクリ続けていた、小池さんにアタリが来た。
イトヨリに、タチウオ、真鰺がヒットしてきた。
本命としている青物、真鯛以外は、なんとか食い付いてくる。
ポイントを何カ所か変えてみても、塩の動きが悪い事に変わりはない。
潮が動かない上に、南東の風が強くなってきた。
南東からのウネリも、徐々に高くなっている。
「バタバタ成る前に、移動しましょうか」
再び、タチウオに戻る事にした。
他の船は、帰った様だ。
魚探を見ていると、ベイト反応はある。
もしかしたら、お日様が真上に来ても、アタリがあるかも。
小池さんに、アタリが来た。
「結構、引きますよ」
やがて、キビレタチウオが姿を見せた。
指4本の良型だ。
福ちゃんにも、アタリが来た。
力の強いキビレタチウオの引きを楽しみながら、ラインを巻き上げている。
指5本の大きさに、笑顔になる。
指3本クラスも、ポツポツとヒットしてくる。
風が、南東から南西に、変わってきた。
12時を過ぎて、午後便と交代する時間になった。
船着き場に帰り、午後便の三木さんと交代する。
「風がチョット強いですね」
「沖は、無理ですね」
「そうですね。タチウオに集中しましょう」
そんな話をしながら、ポイントに入る。
南西の風が強くなり、白波が立っている。
そんな中で、一投目から三木さんにアタリが来た。
ドラッグ音が鳴り、ラインが引き出される。
「この引きは、タチウオですかね」
「タチウオですよ。キビレの大きいヤツだと思います」
海中に、光る魚体が見えてきた。
「おおっ、此は大きい」
指7本の、ドラゴンだ。
「初っぱなから、大物を釣り上げましたね」
「凄い引きですね」
三木さんの笑顔が、輝いた瞬間だ。
南西の強風に押されながらも、タチウオのアタリはポツポツ出ている。
指3本クラスが多いが、ホール重視の誘いで連発している。
「二桁は、いきましたかね」
アタリが出たのとほぼ同時に、外れると思っていたのは、ハリスが切られていた。
また、針掛かりしたタチウオを、他のタチウオが襲いかかって、頭だけが上がってくる場面もあった。
タチウオは、獰猛で共食いする。
夕方には、南西の風が治まると思っていたが、なかなか治まらない。
仲間から「雷注意報が出たよ」と連絡が来た。
やがて、南の方角に稲光が出始めた。
「帰りますか」
雷が、近づく前に帰港した。