8月12日 午前も午後も、シーラ祭り
「今日は、南に走ってみます」

朝間詰めの海は、西風も弱く、凪の海だった。

気持ちよく白波を蹴立てて、ポイントを目指す。

そのポイントではベイトが立ち上がり、透明感のある綺麗な潮が、南方向にゆっくりと流れていた。

右田さんと矢越さんが、直ぐに釣り開始。

丁寧に魚探に映るベイトの中を探っていた、右田さんに大当たりが来た。

ラインを巻き取ることができない位の、強い引きだ。

「止められない…」

一方的にラインを引き出されるだけで、リーダーが切られてしまった。

気を取り直して、右田さんがやや太めにした仕掛けを再投入。

すると、直ぐにアタリが来た。

上がってきたのは、70センチ超のシーラ。

シーラは走る力も、引く力も強い。

次のアタリも、右田さんに来た。

64センチ、2.8キロの真鯛。

朝早くに真鯛がでるのは、気持ちが良い。

矢越さんにも、アタリが来た。

上がってきたのは、イトヨリダイだった。

そのイトヨリを追いかけて、シーラが付いてきた。

右田さんが仕掛けを落とすと、そのシーラが食いついた。

これも、70センチ超の雄のシーラ。

走り回って、タモ入れも一苦労する。

この後、満潮の潮止まりになった事もあり、潮の動きが悪くなり、アタリも出なくなった。

「ポイントを変えましょう」

北東方向に、船を走らせる。

走る船から見る海は、何処も綺麗な青色をしている。

次のポイントに入ると、船の回りにシーラが群れを作って泳ぎ回っている。

お二人が仕掛けを入れると、直ぐに飛びついてくる。

ここから、午前のシーラ祭りが始まった。

右田さんがジグで、矢越さんがホッパーで70センチ超のシーラを釣り上げていく。

次々と、船上に釣り上げられるシーラの、血抜き処理する。

写真を撮る暇が、無くなった。

シーラが走り回るので、竿を矢越さんのホッパー1本にして、交代でキャストする。

そのお二人の楽しいやり取りに「私にもやらせてください」と、竿を握らせてもらう。

軽くホッパーを投げ込むだけで、数十匹のシーラが群れてくる。

針掛かりすると、疾走する。

その走りが、楽しくてたまらない。

3人で交互に釣り上げたシーラが、血抜き様のバケツに一杯になった。

1時間くらい、賑やかにシーラと遊んだ。

午後からのお客様と、交代するため帰港。

干潮時間と重なり、クーラーを陸に揚げるのが大変だった。

午後からお客様の、温水さんご夫婦や温水さんの甥の京田さんも「すごい、シーラがたくさん釣れている」と、クーラーの中のシーラを見て「俺も釣りたい」と、目が輝いている。

午後からの出船の準備を済ませて、直ぐに船を出す。

ポイントに入ると、北東の風が吹き、少しウネリが出ている。

温水さんが船首に立ち、キャストを始める。

沖から入ってくる潮目では、シーラが跳ねている。

「甥に釣りの楽しさを味会わせてやりたい」

と、話をしていた温水さんにシーラがヒット。

上がってきたのは、50センチ超のシーラ。

次のアタリも直ぐに来た。

甥の京田さんに、その竿を手渡し、シーラの引きの強さを楽しませる。

おじさんとしての優しさだ。

上がってきたのはシーラでは無く、キロ弱のハガツオだった。

「掛けたのは俺、釣り上げたのはお前」と言うことで、京田さんが記念写真。

傍で応援していた、温水さんの奥様も笑顔で京田さんの写真を撮影する。

「お母さんに送るね」と、直ぐにメール。

その後も、潮目にキャストするとシーラがヒットしてくる。

「また、行きたい」

京田さんの笑顔が、輝いていた。