2月28日 内場に行きましょう

表は時化ていた。

港を出るときに見えていた、猪崎鼻の岩場の波飛沫が時化を教えていた。

裸バエから沖に出ると、段々と波が高くなり、船がバタバタする。

「沖のポイントは諦めて、少し浅場のポイントに行きましょう」

大島北側の、ポイントに入る。

当然のことだが、此処も高いウネリが押し寄せてくる。

そのウネリを受けながら、蔵屋さんが竿を出す。

1時間粘っても、アタリが出ない。

ポイントを移動しても、波とウネリで仕掛けが安定せずに、アタリが出ない。

その内に、北東の風が強くなり、白波が立ち始めた。

「これ以上は危ないですね。内場に行きましょう」

表を諦めて、大島の内場へと移動する。

内場を走りながら魚探を見ていると、小さいけれどベイトボールが幾つも出ている。

「ベイトが居るようです。ここから始めましょう」

水深40メートルアタリから、船を流していく。

船は島を越してくる北東の風に押されるように、西に流されていく。

鯛ラバで攻めていた、蔵屋さんにアタリが来た。

竿先を小刻みに叩きながら、良型のガンゾウヒラメが上がってきた。

「ヒラメを初めて釣りました」

なかなか出なかった、本日最初のアタリに思わず笑顔になる。

「又来ました」

次のアタリも、直ぐに来た。

しかし、上がってきたのはボラかと思うような大きなエソ。

「こんなデカイエソ、始めてみました」

その大きさは、見てびっくりと言ったサイズだった。

船を元に戻して、少し東側を流していく。

北東の風に乗って、ゆっくりと流されていく。

「来ました。重いアタリです」

上がってきた魚を見て「何だ、ダブルだ」と、チョットビックリ。

オオモンハタとオジサン(ウミゴイ)がダブルヒットで上がってきた。

「オオモンハタは美味しいですよね」

「オジサンの刺身も美味しいと評判ですよ」

しっかりと血抜きをして、クーラーに納める。

「後は、鯛が来れば良いですね」

「そうですね。何とか鯛が欲しいですね」

「ポイントを変えましょう。瀬も何もないフラットな所ですが、ベイトが集まるところがあります。ベイトが居れば、可能性は有ると思います」

船を北側に走らせる。

「あっ、ベイトが居る」

蔵屋さんが、魚探をみてベイトを確認。

「やりましょう」

直ぐに竿を出す。

アタリは直ぐに来た。

竿先をプルプルと震わせて、上がってきたのはガンゾウヒラメ。

「又ヒラメが来ました」

割と肉厚のガンゾウヒラメだ。

「刺身に挑戦してみます」

次もチョット小さい型だが、ガンゾウヒラメが来た。

「前半はどうなるかと思いましたけど、良かったです」

私も内場に来ての釣果が、嬉しい。

「今日は、これで引き上げましょうか」

「そうですね。今度は、凪の日に来たいですね」

北東の風とウネリは、最後まで止まる事はなかった。