12月11日 やっぱり吹いてきた東風
夜明け前の船着き場は、北西の風がやや強く吹いていた。

「お早うございます。今日も風が強いですね」

「海上は風が北東になるのですかね」

東の空が明るくなり始めた頃に、港を出てポイントを目指す。

沖合に出るに従って、北西の風が強くなってくる。

「今日も北東からのウネリとぶつかって波立ってますね」

波も1.5メートルは有りそうで、船が揺れる。

「場所を変えましょう」

追い波に気をつけて、南方向に走っていく。

大島沖のポイントにはいると、風が真北から北東に変わり始めた。

「風が強くなりそうですね」

Bさんと塩田さんが、直ぐに竿を出して釣り開始。

一投目から、Bさんと塩田さんに、アタリが来た。

出足は、最高だ。

「余り引かないけど何だろう」とBさん。

「多分、鰺です」と塩田さん。

美味しそうなタチウオと、丸々と太った良型の鰺が上がってきた。

「来た!」

Bさんにも塩田さんにも、連続して当たりが来る。

塩田さんには、良型の鰺が連発。

Bさんの竿も大きく曲がって居る。

しかし、「あっ…」と言う声とともに、竿先からアタリが消えた。

「針が外れてしまった。なんでか…」

Bさんには、珍しい事だ。

そのBさんに、今度は青物を思わせる強いアタリが来た。

竿先が、海面に突き刺さるように、曲がっている。

しかし、これも途中で逃げられてしまった。

釣りには、その日のリズムがあると、私は思っている。

風や波、潮の動きなど一寸したリズムの変化で、いつもの調子が上がらない。

今日のBさんは、そんな感じなのだろうか。

「又来ますよ」

巧く声が掛けられないが、私なりの「頑張ろう!」のつもり。

塩田さんは、順調に鰺の釣果が伸びている。

丸々として、脂ののった美味しそうな鰺だ。

しかし、気になっていた風が真東に変わって「爆風」に近い状況になってきた。

東からのウネリも、一段と高くなってきた。

船仲間達からも「危ないから内場に入る」と、連絡が来た。

私も危険は避けて、内場に移動する。

ウネリの高さが、目線より上になってきた。

内場には、既に多くの船が来ていた。

鰺、鯖の魚影が確認できるので、此処で竿出しする。

直ぐに、塩田さんとBさんにアタリが来た。

塩田さんが、鯖を連続して釣り上げる。

ホウボウもヒットしてきた。

風に吹かれて、ホウボウの羽が広がり、空を飛んでいるように見える。

Bさんのアタリは、ガンゾウヒラメだった。

この内場でも、沖からの東風が強く吹いてくる。

「やっぱり、東風が吹いてきましたね。予報通りでしたね」

帰りの道中は、沖から寄せているウネリの白波を立てながら、港に入った。

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