開進丸
12月3日 久し振りの微風、べた凪
「お早うございます。北西の風ですね」
「風が強くないですかね」
「多分、大丈夫でしょう。釣れると良いですね」
吉行さんを乗せ、ポイントを目指す。
今日は、朝間詰め夕間詰めを狙って一日釣り。
最初に入ったポイントでは、なかなかアタリが出ずに一寸苦戦する。
ベイトはいるのに、アタリが来ない。
「ポイントを変えましょう」
船を北東方向に走らせる。
「満潮を過ぎて、引き潮が動き出す時を狙いましょう」
最初のアタリは。吉行さんと一緒に竿を出していた私に来た。
サゴシのスレ掛かり。
まずまずの型の、サゴシの背に針が掛かっていた。
直ぐに吉行さんにもアタリが来た。
私と同型のサゴシだった。
「結構引きましたね。まずはボーズは逃れました」と笑顔が良い。
船は0.6ノットくらいの速さで、北東に流れている。
上り潮が、ゆっくりと沖に払い出している。
吉行さんにアタリが来た。
上がってきたのは、2キロ超のハガツオ。
海面近くに来てから、船の下に何度も走っていく。
この時の走りが、又強烈に速い。
竿先を海面に突っ込んで、ラインが船底に触れるのを防ぐ。
「良い型のハガツオですね」
「前回釣ったハガツオより、一回り大きい感じです」
これで、調子を上げていける、と思った。
しかし、思うようにいかないのが釣り。
ここから、アカヤガラの4連発。
それも、良型ばかりがヒットしてくる。
「私は高級魚でも、このぬるぬる感が嫌い」と、直ぐに放流。
「半分近くは頭だし、釣り上げたら回転して抵抗するしね。美味なんですけどね…」
「ポイントを変えましょう」
次のポイントは、水深が70メートルとちょっと深くなる。
釣りを初めて直ぐに「あれなんですか。鮫ですかね」
吉行さんが海面を指さして、何かを見ている。
その指さす先には、海面に何かの背びれが見えている。
「あれ、カジキですよ。芭蕉カジキだと思いますよ」
私も、はじめてカジキが近くを泳ぐのを見た。
珍しい魚の背びれを見ていたら、吉行さんにアタリが来た。
「来た。なんか来ました」
竿先を激しく叩くアタリ。
上がってきたのは、良型のイトヨリダイ。
久々に、大きなイトヨリダイを見た。
「これ白身で美味ですよ。高級魚ですよ」
イトヨリダイよりも、もっと高級魚が直ぐにヒットしてきた。
1キロ超の白甘鯛。
「最初の引きは強烈ですね。竿が突っ込みましたよ」と笑顔。
甘鯛は形の割には引きは強く、最後まで抵抗する。
これから正月に向けて、釣り上げたい魚だ。
「吉行さん、初めてのポイントに行ってみませんか」
「行きます。楽しみです」
船を南東方向に走らせる。
午後になると、北西の風も微風になり波も穏やかになった。
滑るように走るとまでは行かないが、気持ちよく走るのは久し振りだ。
ポイントに入る頃には、潮行きは0.4ノットくらいと遅くなっている。
「潮の動きがイマイチになってきましたね」
そんな状況が変化した中、アタリが来た。
私には良型のハタが来たが、名前が出てこない。
「真ハタモドキかな…分からない」
吉行さんには、レンコダイが来た。
続けて、タチウオも来た。
「指3本くらいですかね」
「5本くらいのが欲しいところですね」
夕方が近付いた頃、ベイトの柱が出てきた。
吉行さんと一緒に仕掛けを落としていく。
「良い感じのベイトですね」
すると、私の竿に強烈なアタリが来て、ドラッグ音が鳴り響いた。
「青物かな。重くて走ります」
時折抵抗は見せるが、最初の走りを止めてからは、重々しい横走りを見せて、なかなか上がってこない。
「見えた。真鯛です」
上がってきたのは、3.5キロ超の雄の真鯛。
「来ましたね。青物かと思う走りでしたね」
ジギングで釣る、鯛の走りも楽しい。
ベイトは徐々に増えているのだが、この鯛を締めに帰港することにした。
「次は、私も鯛を釣ります」
吉行さんが力強くリベンジを誓って、港に向かって船を走らせた。
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