開進丸
2月24日時化る海
夜明け前、先に出ていた大磯先輩の船が、帰ってきた。
「おはよう御座います。何でですか」
「時化ちょる。ウネリが高いど」
「沖には、出られそうにないですか」
「無理やろうね。北風も強く吹いてちょるしな」
週末の天気も崩れる予報だし、崩れが早まったかな…。
港を出ると、やはり、ウネリが高い。
それでも、行けるところまで出てみたが…。
北東からのウネリが、三角波状になっている。
船の揺れが、バタバタしている。
一流し終えたところで「内場に移動しようか」と、宮田さんに声掛けする。
内場の南側のポイントに、入ってみた。
「ベイト反応はあります。鰺かも知れないですね」
現時点では、北東から吹いてくる風が、東から南よりに変わる前にアタリを捕らえたい。
魚探の反応が、海底から広範囲に出ている。
なかなか、アタリが来ない。
流し直しの為に、船を戻そうとした時、宮田さんにアタリが来た。
「何か来ました」
「良い感じで引いているね」
「走りますね。鯖かな」
やがて姿を見せたのは、真鰺だった。
40センチクラスの、良型の真鰺。
「ベイト反応の正体は、鰺やね」
「何かが付いているかも、知れませんね」
瀬周りに出ている反応を、攻めていく。
鰺の他にヒットしてくるのは、オキアジ。
これも、引きは強くて、面白いが…。
風が、徐々に南東に回り始めた。
ウネリが、目線を越え始めた。
「移動しましょうか」
内場の奥に移動する。
東からの風が、南方向から回り込んでくる。
その風に、押されるように流していく。
「来ました。引きが良いですよ」
「エソじゃないと良いですね」
ここでも、姿を見せたのは、良型の真鰺。
計測すると、40センチを少し超している。
「40センチ有りますよ」
「これくらい有れば、嬉しいですね」
鰺の連発を期待するが、内場はエソも活発。
元気の良いエソの連発に、笑いが出てくる。
ウネリと風が南よりに変わったところで、引き上げた。