10月4日切られた伸ばされた捕ったそしてイカ
「今日は、風が大人しいと思います」

やはり、風の話から一日が始まる。

北東の風が、大人しくしていれば、何とか楽しく釣りが出来る筈。

塩田さんとも蔵屋さんを乗せ、ポイントへと船を走らせる。

いつものポイントに、ベイト反応が出ていない。

「ベイトが居ない分けじゃ無いです。反応が、薄いです」

「船を流していけば、良い反応が出てくるかも知れません」

ベイト反応が出てくる事を信じて、船を流してみた。

暫く流していると、蔵屋さんにアタリが来た。

上がってきたのは、大きなアカヤガラだった。

「ヤガラが釣れる時は、潮が動いていない」

「又しても、潮が動かなければアタリが出ない…」

出足から、何となく嫌な想像をしてしまう。

ポイントを移動して、気分転換。

塩田さんに、アタリが来た。

上がってきたのは、ニベだった。

「重さは、6.5キロ有りますね」

真鯛と思っていたら、ニベが上がってきたのに、嬉しいやら、悲しいやら…。

サゴシやタチウオも、ヒットしてきた。

シャクリの途中で、リーダーを切った奴の正体は、このタチウオかサゴシなのかも…。

ここから、ポイントを移動する度に、チョットしたドラマが起きる。

満潮の潮止まりから、潮が動き出すタイミングで、塩田さんと蔵屋さんにアタリが来た。

ダブルヒットで、青物と思われる強いアタリが来た。

「やった、ダブルヒットだ」と、私は、大喜び。

ドラグ音が鳴り、ラインが出ていく。

ゆっくりと、巻き上げていく。

お二人の獲物が横走りした時、ラインが絡んだ。

「しまった。絡まったかも…」

塩田さんのラインが切れた…。

残るは、蔵屋さんの青物。

姿が見えたのは、大きな鰤だ。

しかし、海面近くでタモ入れ直前に反転した時、針が外れた…。

「あっ…外れた」と思ったが、針を調べてみるとリアフックが二本とも伸ばされていた…。

青物を確認して、逃げられたのはチョット、ショックだ。

気分替える為、ポイント移動。

一流し目に、塩田さんに大きなアタリが来た。

最初のアタリから、いきなりラインが出ていく。

竿が、強い力で引っ張られる。

竿を少し起こして、溜にはいるが…「あっ…切られた…」

強烈な走りに、PE4号がザラザラになって切られてしまった。

「4号が切られる事は余りないですよ。瀬か何かに擦りましたかね」

チョットした、ショックなドラマが続いた。

しかしここから、お二人の大逆転が始まる。

塩田さんに、強いアタリが来た。

「回収中にアタリが来た」

竿先が、海面に突き刺さる。

「なかなか上がってこない。鰤かも」

ゆっくりと巻き上げていくと、やがて、姿が見えてきた。

上がってきたのは84センチ、5.5キロの鰤。

「やった、さっきの切られた悔しさが少しは取れたかな」

笑顔で会話が弾む。

ポイントのベイト反応が、柱状に立ち上がり始めた。

「良い感じの反応が出ています」

塩田さんにアタリが来た。

蔵屋さんにも、アタリが来た。

塩田さんのアタリも、蔵屋さんのアタリも、良い感じの突っ込みを見せている。

「今日、2度目のダブルヒット」

仕掛けを巻き上げて行くと、沖合にピンク色の魚が2体見えてきた。

「真鯛です」

塩田さんの真鯛が、64センチ、3.1キロ。

蔵屋さんの真鯛は、81センチ、5.2キロの80オーバーだ。

「やった!大逆転だ」

切られた悔しさと、伸ばされた悔しさを、大物を取った喜びが上回った。

「80超は、今年2匹目です」

と、笑顔が輝いて見える。

この後も、塩田さんに真鯛がヒットしてきた。

真鯛の連発の時間は、至福の時間になった。

午後3時からは、イカの調査釣行。

木上さん、今村さん、福重さんと、夕方のイカを狙う。

ただ、さいきんの秋イカの釣果が出ていない事が気がかり。

「最近は、イカの釣果が無いんです」

木上さん、今村さん、福重さんに、今の状況を伝える。

10~15メートルの岩場をポイントに、攻めていく。

少しずつ、移動を重ねながら、起伏のある岩場を探っていく。

時折、鋭いアワセが入る。

「魚かな…」

竿先に、何らかのアタリを感じて、アワセが入るが…。

なかなか、エギに乗ってこない。

北東の風も、夕方になると緩くなっている。

「船が流れる速さが、0.3ノット前後です」

エギに、潮のテンションを掛ける事が、上手くできない潮行きになっている。

「浅場で、ベイトの居る処」

魚探で、探りながらポイントを決めていく。

木上さんの、鋭いアワセが入った。

「乗った。イカが居ましたよ」

「ちょっと、小さいかな」

木上さんの、粘りが引き出した一匹のイカ。

嬉しい一枚に、思わず「やったー、嬉しいです」と、喜びが言葉になった。

「居るよ。イカは居るよ」

木上さんの言葉に、今村さんが応える。

「来ました」

「足一本に掛かっています」

木上さんに続いて、2匹目のイカ。

「2匹の釣果は、今年初めてです。嬉しいです」

私の方が、気持ちが高鳴ってきた。

福重さんにも、アタリが来た。

「あっ、乗らなかった」

直ぐに、エギを落としていくが、乗ってこない。

ここは、ちょっと残念だった。

夕方狙いのイカ釣果は、嬉しかった。

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