開進丸
１２月２３日午後から出てみる
海の波は、道路から見ると、凪に見える。
実際に、船を出してみると、目線を越えるウネリが来る。
午前中は、出船を諦めていたが、午後から風が落ちてきた。
「午後から出てみますか」
となって、帰る覚悟で船を出してみた。
今日の裸バエ辺りから出ようとした時が、ウネリが高かった。
「結構なウネリがありますね」
「このウネリでは、沖に出るのは厳しいかもね」
風が強い時に、直ぐに避難できるように内場から沖に出てみた。
水島には、大きなウネリが寄せていた。
船を流していると、目線を遙かに越えるウネリが寄せてくる。
「オオーッ、結構来ますね」
竹本さん、三浦さん、高砂さんと少しずつ、沖のポイントに入っていく。
ベイト反応は少ない。
潮の動きも、イマイチ良くない。
そんな状況の中だったが、潮は上り潮が入っていた。
「もう少し、動いて欲しい」
そう思っている所に、三浦さんがアタリを捉えた。
「上に向かって、上がってくるのが、気になりますね」
午後からの最初の釣果は、アカヤガラだった。
「潮の動きが悪いのですね」
その次の、釣果もホウボウ。
「殿様の魚」と、言われていても、これも潮が動かないときにヒットする事が多い。
ポイントを少しずつ変えながら、流していく。
時折、南東の風が吹くが、白波が立つような風ではない。
高砂さんと三浦さんが、ダブルヒット。
「余り大きくはないです」
高砂さんが、ゆっくりとラインを巻き上げていく。
高砂さんには、アヤメカサゴがヒット。
三浦さんには、サゴシがヒットしてきた。
竹本さんも頑張っているが、この時期にシーラがヒットしてきた。
船首では、三浦さんが竿を曲げている。
「何か来ました。ゴツゴツと叩く感じがしますね」
やがて海面に姿を見せたのは、白甘鯛。
「やった、初めて白甘鯛を釣りました」
三浦さんが、大喜びしている。
この白甘鯛が、今日のヒーローかなと思っていたが…。
ポイントを変えると、高砂さんに大アタリが来た。
竿先が、海面に突き刺さるように、強い力で引っ張られる。
「頑張れ」三浦さんから、声援が飛ぶ。
何とか走りを止めて、巻き上げに掛かるが、直ぐに強烈な反発にあう。
３度目の走りを止めて、溜めに掛かったときに「あっ…」と…。
ラインが、切られた。
「正体が見たかった…」
初めての船釣りで、初めての大アタリ。
「悔しいですね」
高砂さんの笑顔の中に、悔しさが滲む。
起伏のあるポイントから、フラットな海底のポイントに移動する。
沖から、潮目が入ってきた。
高砂さんに、良型の鯖がヒットしてきた。
良い感じの潮目なのだが、後が続かない。
午後４時３０分、日暮れが早い事もあり、釣りを切り上げた。
