開進丸
9月7日南東の風強し
猪崎鼻の岩場に、波飛沫が立ち上がる。
遠くに見える野瀬の灯台でも、波飛沫が高く上がっているのが見える。
タチウオポイントでも、南東の風が強く吹き付けている。
大雨を予想していたので、完全に夜が明けてから船を出した。
南東の風で、校内も風波が立ち始めている。
朝間詰めに、大物を期待して仕掛けを落とす。
前日の雨や風の影響か、潮が濁っている。
「こんな、濁った潮ではアタリが出るかな」
塩田さんが、潮を気にしながら、ジグをしゃくっている。
一流し目は、アタリが来ない。
二流しに入って、今日の初アタリが来た。
指3本クラスの、タチウオ。
しかし、後がなかなか続かない。
「アタリが渋くなっていますね」
一流しに1回、アタリが出るかどうか。
ジグのしゃくりをゆっくりとして、海底付近を攻める。
塩田さんに、強いアタリが来た。
「これは、良い型かも」
指5本クラスの、キビレタチウオが上がってきた。
釣り開始から、1時間以上経過している。
塩田さんも、納得行く型が釣れてホッとした表情だ。
タチウオも、指5本クラスになると、強い引きに竿が大きく曲がる。
タチウオが見せる最初のアタリの強さ、引き込みの激しさは、釣り人に人気のある魚だと言うことが感じられる。
ここから暫くは、指3本クラスがポツポツとヒットしてくる。
それらのアタリを、一つ一つ丁寧に拾っていく。
漸く、2匹目の強いアタリが来た。
これも、指5本クラスのタチウオだ。
「何とか、2匹目が釣れました」
塩田さんの言葉が、弾んでいる。
この後、リーダーに繋いでいたワイヤーが、切られるアタリが2度続いた。
竿先が、思いっきり突っ込んで、その強い引きを耐えていた時、前アタリに思い切って合わせを入れた時。
ワイヤーが切られた時は、「えー…何で切れるかな…」
もともと、石鯛釣り師だった塩田さん。
「ワイヤーは、自分で結ぶ」と、悔しさが滲んでいた。
昼が過ぎて、満潮の潮止まりが近づく。
上げ7分に、3匹目の強いアタリ。
指6本クラスの、キビレタチウオが上がってきた。
型が良くなると、海面に浮いてきてからが一仕事。
何度も後ずさりして、なかなか、浮かず事ができない。
しかし、そこは慌てず、チャンスを見て船に振りあげる。
指6本クラスが足下に横たわると、迫力がある。
大物が来るまでに、可成り間がある。
全体的にタチウオも、下降線になっているのだろうか。
指3本クラスを、何本か追加して納竿とした。