開進丸
8月23日良い色で上り潮だけど…
見た目は、青黒い透明感のある潮だ。
それも、上り潮が1ノット前後で流れている。
釣る側からすれば「良い色の、良い潮やね」と、成るのだが…。
ベイト反応が出てきても、竿先にアタリが出ない。
夜明け前から船着き場では、南東の風が吹いていた。
「風が強くなったら、其処で納竿になるかも」
温水さん、上野さんと話をしながら、ポイントを目指す。
南西の方向には、大きな雨雲が掛かって、小雨がパラパラしている。
「早めに勝負を掛けたい」
魚探にベイト反応が出ているのを確認して、直ぐに竿出しを勧める。
上野さんに、直ぐにアタリが来た。
海面に何かが飛び跳ねているのを、確認したばかりだった。
「飛び跳ねていた正体は、このヨコワやったっちゃ」
一投目に、ヨコワのアタリが来て、「食い気のある潮かな」と思った。
ここから、本日の大苦戦が始まる。
下潮の流れが速くなったが、上潮は逆に流れが0.5ノット前後とゆっくりに成る。
しかし、やや強い西南西の風に、船が押されて流される。
下潮が早すぎる様で、ポイントを変えながら釣りをしていく。
温水さんに、アタリが来た。
「小さいですね。余り引きません」
上がってきたのは、カイワリだった。
この後、沈黙の時間が暫く続く。
温水さんも、上野さんも色々と仕掛けを変えて探っていくが、アタリに繋がらない。
2時間ほど沈黙が続いた後、上野さんにアタリが来た。
大きなアカヤガラが、上がってきた。
「此が当たるときは、潮が動いていないときですね」
上野さんの横には、息子さんの瑠唯君が竿を出している。
瑠唯君に何とか、魚とのやり取りを楽しませてやりたい。
その願いが通じたように、上野さんに強いアタリが来た。
アタリの来た竿を、直ぐに瑠唯君に手渡す上野さん。
優しいお父さんの姿だ。
瑠唯君が頑張って、ラインを巻き上げる。
丸々とした、大きな赤鰺が上がってきた。
ネリゴと間違える大きさだ。
しかし、この後が続かない。
又しても、アタリのでない時間が続く。
この苦境を何とか打破したいと、ポイントを移動する。
ポイントを移動した先で、魚探を見続けていたら温水さんが何かを釣り上げたのが見えた。
直ぐに駆け寄ると、真鰺が上がっていた。
良型の真鰺だ。
この真鰺が連続ヒットするかと思ったが、又しても沈黙タイムに入った。
天気の方は、大きく崩れる事もなく、釣りを続けている。
「風が西風に変わったね」
やや強う西風が、吹き始めた。
「明日は、この西風が波が落ちるかもね」
明日に期待して、大苦戦の今日の釣りを納竿とした。