4月30日 美人釣り師と動かない潮
朝一番に、その衝撃は待っていた。

内田さんの初卸しの竿に、アタリが来た。

「何か来ました。うおっ、突っ込む!」

楽しみのやり取りが始まる。

何度も、何度も真下に突っ込む大物。

周りで応援している、清水さん、堀部さん、富吉さんも緊張している感じが伝わってくる。

堀部さんが「サメ?鰤?」と、言いながら海中を覗き込んでいる。

「鰤や!おっきい!」と、驚きの声に変わった。

海面に姿を見せたのは、10キロ近くありそうな鰤。

101センチ、9.2キロの見事な鰤。

初卸しの竿に、最初の獲物が“鰤”の大物。

「やったー!」と、皆で祝福する。

今日が初船釣りの、美人釣り師の富吉さんも「私も釣りたい」と、目を輝かせている。

その富吉さんにアタリが来た。

竿先をブルブルと震わせるアタリ。

「手元に伝わる感覚は、楽しいでしょう」

「何か、ワクワクします」と、楽しそう。

上がってきたのは、ウミゴイ(オジサン)だった。

笑顔で、記念写真撮影する。

堀部さんと清水さんにも、ウッカリカサゴがヒット。

此処までは、順調な出足と思えた。

しかし、ここから苦戦が始まる。

潮が動かなくなってしまった。

「最近、この傾向が有るのです。もしかしたら、潮が巻いているのかもしれませんね」

「巻いているのですか?」

「黒潮の本流が近づいてきた時に、沖から入る潮が渦巻き状態に成ることが有るみたいです。範囲は相当広い範囲です。

 その潮同士がぶつかったりして、潮の動きが止まってしまう事もあると聞いたことがあります」

「潮って難しいんですね」

「潮は、複雑で判断できませんね。勉強し続けなくちゃと思っています」

そんな話をしながら、少しでも潮が動いていそうなポイントを探す。

すると、今度は下潮のみが速い流れになってきた。

「着底が取りにくく成ってきました」

富吉さんを始め、皆さん着底取りに苦労されている。

何カ所目かのポイント移動で、清水さんにアタリが来た。

「やっと、来た」

上がってきたのは、レンコダイ。

「なんか、嬉しいですね」と、長い苦戦に漸く笑顔が戻ってきた感じがする。

しかし、又しても動かない潮に静かな時間が流れる。

「もう一カ所行ってみましょう」

もしかしたら潮が動いているかもと、予測だけでポイントを移動する。

すると、魚探に大きなベイト反応が出てきた。

それでも、一流し目にはアタリが出ない。

「仕掛けをチョットだけ変えましょう」と、皆さんが工夫する。

すると、富吉さんにホール中にアタリが来た。

中鰺が連発してきた。

清水さんにも、堀部さんにも、内田さんにも中型の真鰺が連発し始めた。

一気に、船中が賑やかになった。

針掛かりした鰺に、何かが食いついた。

清水さんと、富吉さんの竿が強烈に突っ込んだ。

ダブルヒットになったが、清水さんは鰺だけ捕られてしまった。

富吉さんには、鯛ラバにニベがヒットしていた。

2キロクラスの食べ頃サイズ。

「強い引きですね」と、目を輝かせて驚きの表情。

納竿1時間前が、大賑わい。

鰺のアタリが、4人同時に出る。

ラインが絡まったりして、大賑わい。

何匹釣り上げたかは、数えていない。

気が付くと、納竿時間。

「帰りましょうか」と、帰港する。

港に帰って、鰤やニベを持って記念写真。

リーダーの清水さんに堀部さん、内田さん、美人釣り師の富吉さんの楽しい釣りの一日が笑顔で治まった。