開進丸
12月25日 粘りに粘って
早朝のゴールデンタイム。
広峯さんの竿が曲がった。
「船長、瀬掛かりしたみたいです」
「船を回して、反対側から外してみましょうか」
船を回しても、なかなか外れない。
「ちょっと、ラインを引っ張ってみますね」
ラインを引っ張ると、浮き上がってくる感じがする。
「これ、上がって来ていませんか」
広峯さんが、ラインを縦に引き抜いていく。
確かに、何かが上がってくる。
「もの凄く重いですけど、上がってきますね」
暫くすると
「何か見えました」
大きなエイが姿を見せた。
図鑑で調べたら「ツバクロエイ」と判明した。
大きなタモに何とか収まったが、船上に上げるのが大変だった。
正確に量りはしなかったが、10キロ近く有りそうな重さだ。
針を外して、直ぐに海に帰す。
出だしに大きなエイは、チョット驚いたが気を取り直して竿を出す。
今度は、ここから我慢の時間が続く。
アタリが来ても、針に乗らない。
移動を繰り返し、ベイトを探して竿を出す。
なかなかアタリが出ない。
時折、竿先がクングンとアタリを捕らえるのだが、直ぐにアタリが消える。
「乗ってこないな…」
ここは、粘る以外にない。
注意報の出ていた、北西の強風も吹いていない。
アタリのあったポイントを我慢して、流していく。
「どうしようか…」
考えていた時、広峯さんの竿にアタリが来た。
「乗れ!乗れ!」
ラインが走った。
「よっしゃ、来た!」
アタリの出方から「これは、真鯛ですね」と、気持ちが高鳴る。
「途中で外れるなよ」嬉しいような、ドキドキ感が続く。
姿が見えてきた。
「真鯛です」
57センチ、2.1キロの良型真鯛。
「やりましたね。粘り勝ちですね」
嬉しくなって、思わず広峯さんと握手。
「良かった。子供に自慢できます。兄貴にも写真を送れます」と、笑顔が一杯。
この後、北西の風が強くなり波立ってきた。
「移動しましょう」
良型のカサゴを追加して、今日の釣りを終えた。