10月25日 朝間詰めだけ
「沖は時化ているよ。内場に波が立っていたら帰ってこようや」

「分かりました。一応、キャスティングの用意はしてきました」

朝間詰めだけのキャスティングを、やってみようと早朝6時に船を出す。

北東からのウネリが寄せていて、南に向かって走る船が後ろから押される。

「結構なウネリがあるね」

「凄いですね」

従兄弟の信司を乗せて、久し振りの海に出てみた。

大島南側の平瀬周囲に着いたが、サラシが余り出ていない。

ウネリも高いし、岩に跳ね返る波も船を揺らす。

「信司、波に気をつけて落ちるなよ」

「大丈夫です」

直ぐにキャストを開始する。

平瀬周辺のサラシを攻めていく。

「あっ、何か追ってきた」

白い魚体が海中に光ったようだ。

船が、波に押されないように操船していたので、魚影は見ていないが、信司が海中を指さすのは見ていた。

「何やった」

「分からんかったけど、白くギラッと光った」

ヒラスズキだろうか。

30分位粘ってみたが、何処を攻めてもアタリが来ない。

「サラシが小さすぎたね」

「ベイトは居たけど、残念です」

「このまま手ぶらで帰るのも寂しいね。ちょっとジギングをやって帰ろうか」

内場の、ベイトがいる場所を探す。

「信司、ベイトが纏まっているよ。やってみて」

一流し目に、ハガツオが来た。

時刻は7時過ぎだが、既に北東の風がソヨソヨし始めている。

帰りながら、ベイトを探してジグを落としていく。

ポツリポツリだが、カンパチとヤズがヒットしてきた。

ラインの着信音が鳴った。

仲間からの連絡だった。

「信司、仲間からの連絡で、北東の風で大堂津前はウネリが凄いことになっているらしいよ。このまま、帰ろうか」

「そうなんですね。帰りましょう」

内場にいると、北東の風は余り強く感じなかった。

目井津港前アタリから、北東からの高いウネリが寄せてくる。

何度か船が持ち上げられる。

「ゆっくり帰ろう」

ウネリを斜めに切りながら、進んでいく。

油津港に帰ってきたときは、船の窓は潮をタップリと被っていた。