磯際の今と昔/北村憲一
皆さんこんにちは。サンライン磯テスターの北村憲一です。
今回は、「磯際の今と昔」について解説していきます。
私がホームグランドにしている高知県西部から愛媛県(西海)の磯ですが、私が初めて磯釣りをした小学生の頃から比べると磯際に付いているグレが減っていると思います。
シーズン中の厳寒期の地方(ぢかた)に居着いたグレが磯際で釣れる期間が短くなっていて、それ以外の時期は遠投の釣りになってしまうことが近年多いです。
一体どうして磯際のグレが減ったのか、原因はいろいろあると思いますがその一つは、海水温が厳寒期でも下がらないことが多くあります。
そうすると、何が起こるかというと海藻が育ちにくくなります。そして海藻の中には水温が一定水温以下にならないと発芽しなかったり、成長が悪くなるものが多数あります。
また温暖化の影響で黒潮の蛇行や、台風のコースが豊後水道を通らないことで海中が混ぜられず海中の栄養分が少なくなっていることも海藻などの成長やグレの着き場に影響を与えている原因の一つだと思います。
すなわちグレの本来のエサや産卵場所である海藻が減っているのです。
海藻は干満で水没したり露出する場所に多く生えていることもあり、以前はグレなどが磯際でよく釣れていたと思います。それが、グレの好きな海藻が減少したことにより、磯際では生活できなくなってグレが沖へと生活範囲を変えていると私は考えています。
また、マキエサの変化もグレが磯際から沖へと離れた原因だと思います。
昭和59年ごろからマルキューから配合材が登場して、マキエに配合材を加える現在のスタイルになってきました。そしてそれはそれまで手が届かなかった沖の潮目やシモリをダイレクトに狙い撃つという遠投攻略によってグレを磯際から沖に着かすことになったと思います。
今までは、磯際からグレが沖に移っていることを書きましたが、私のホームグランドの一つである沖ノ島、鵜来島エリアは少し状況が違います。
このエリアは、私が23歳のころから配合材を全面的に禁止にして、使用できるエサをオキアミボイル、赤アミのみにしてから、尾長グレが磯際で乱舞するようになりました。
これは栄養価が高いボイルと日本の沿岸部に広く生息するプランクトンの仲間である赤アミだけをマキエに使うことで、本来潮の流れを好む尾長グレがある一定の条件にあった磯に居着いて養殖状態になったからです。
このエリアでも口太グレは、沖の潮の流れを好み、年中沖の潮目にわきグレとなり、沖へと繰り出すということは、よほど磯近くの環境がグレにとってよくないのではないでしょうか。
「最後に」
私の釣り歴も、40年以上になっていますが、師匠とかのようにもっと長く海を見続けてきた方だと、より一層昔と今の海の違いが分かっていると思います。
そろそろ、磯際にグレを戻す方法を釣り人として考える時期にきているのではないかと私は思っています。