五右ェ門
──苦しみを越えた先にある、小さな光。
休日。ふと気分を変えたくなって、いつものポイントを離れ、別のポイントへ向かうことにした。
風はほとんどなく、キャストは思い通り。けれど、肝心の潮が動かず、水はどこか静まり返っている。アジの気配も薄く、最初の30分は何の反応も得られなかった。
周囲の釣り人たちも同じ状況のようだ。誰のロッドも曲がっていない。そんな中で、ただ一つの正解を探すべく、道具を片づけて次のポイントへと移動した。
二か所目、三か所目と回ってみるも、どこも人は多いが、肝心のアタリは皆無。足で稼ぐしかない。
そんな覚悟が、徐々に疲労とともににじみ始める頃だった。足元にベイトの群れが溜まっている場所を見つけた。
波の表情が、どこか違う。
直感的に「ここしかない」と感じ、仕掛けを投入。明暗の境を丁寧にトレースしていくと、中層で微かなアタリが手元に届いた。
反射的に合わせ、確かな重みを感じる。巻き上げたのは、銀色に光るアジ。小さいが、重みのある一匹だった。
再現性を探ると、すぐに二匹目。だがそれきり、海は再び静寂へと戻ってしまった。
だが、不思議と悔しさはなかった。あの沈黙の中で、確かに“探し出した”という実感が残っていたから。
⸻
アジングは、簡単ではない。
けれど、自分の足と目と感覚で、たった一匹を見つけたとき、その喜びは格別だ。
釣れない時間も、無駄ではない。すべては、あの一瞬のためにある。
探して釣り、苦しみ、そして笑う。
そんな静かな喜びを、ぜひ味わってほしい。
















