4月5日 南風のウネリを越えて
「今はまだ、風は北西が吹いてますね。でも、ウネリは南から来てますから船が揺れると思います」

「そうですね。今の内に行けるところで頑張りましょう」

温水さんと、魚探でベイトを探しながら、沖のポイントを目指す。

「このベイト反応が、カタクチイワシの群です。ポイントの手前ですけど、やってみませんか」

「凄いベイト反応ですね」

「途中で風が止まると思います。そしたら、風が来たから南へと変わるはずです」

「結構波が出てますものね」

「沖に白波が出始めたら、直ぐに移動します。南風のウネリは要注意です」

潮は、ゆっくりと沖に払い出す上り潮。

潮流も0.5ノット前後と丁度良い感じで、釣りやすい。

「仕掛けが、真っ直ぐ落ちていきますね。もう少し斜めに入ると良いんですけどね」

「そうですね。下潮はどうですか」

「少し、緩い気がします」

温水さんにアタリが来た。

最初に上がってきたのは、大きなエソ。

「ベイトの中は、エソが沢山かな」と、思わず笑いが出る。

続けてアタリが来た。

「ん、今度のアタリはエソではない感じです」

時折、竿先をコンコンと叩いている。

キロ弱の綺麗な真鯛。

「初真鯛です。嬉しいですね」

温水さんが、私の船に来て下さる様になって、ジギングで初真鯛。

「前回は、親父が釣りましたし、その前は釣り友が釣りましたものね。漸く私にも来ました」

「そうでしたね。お父様が釣られたのでしたね」

「とにかく嬉しいです。頑張りますよ」と、温水さんの笑顔が私も嬉しい。

しかし、この頃から時折沖合に白波が立ち始めた。

沖の波を注意してみていたら、温水さんにアタリが来た。

「重いです。走らないですけど、何やろう?」

ゆっくりと、獲物を引き上げていく。

上がってきたのは、良型のマゴチ。

「良い型のマゴチですね。こいつエラの所に棘がありますよ。気を付けて下さいね」

「刺さると痛いですか」

「毒とかは無いです。でも、痛って思うのは嫌ですモノね」

「どうやって、捌きます」

「ごめんなさい。コチを捌いたことが無いので上手く説明できません」

「知り合いの魚屋さんに頼んでみます」

「私の仲間の話の受け売りですが、鯛より上手いと言ってました」

二人で悩みながら、魚料理の話が弾む。

気が付くと、北西の風が止まってきた。

「風が変わりますね。今の内に潟の方に移動しましょう」

南からのウネリが一段と高くなってきた。

「内場に行きましょうか」

内場も、南からのウネリが入って波が立っている。

「何か来ました」

ここから、大きなエソの連発にあう。

「此処のエソは大きいですよね」と、笑いながらの釣りになる。

「んっ、今度のアタリはチョット違うかな」

上がってきたのは、ガンゾウヒラメ。

「エソ以外が上がって来て、チョット嬉しいかな」

しかし、この後は又してもエソの連発。

「今日は、諦めて帰りましょうか」

「そうですね。潮も下潮が軽い感じになってきましたし、帰りましょう」

南風に押されながら、帰港した。