1月24日 気持ちの良い、朝だね

「風無いですね」

「べた凪ですね。最高に気持ちの良い朝ですね」

今年一番の寒波で、キャビンの窓は凍っていたが、横に立って操船しながらポイントを目指す。

温水さんと風の心配をしていたが、今日は久し振りに心配なさそうだ。

「他の船が出てきていませんね」

「きっと、昨日の強風もあったので警戒しているのじゃないかな」

ポイントに入ると、いきなり立ち上がったベイトが魚探に映し出された。

「いますよ。立ち上がっています」

「凄いベイトがいますね」

温水さんが、直ぐに仕掛けを落としていく。

潮が余り動いていないようで、ジグが真っ直ぐに落ちていく。

「潮は、緩い上り潮で沖に払い出しています。0.5ノット前後です」

潮の流れを確認して、船を戻して流すコースを調整する。

魚探には、ベイトが映っている。

「来た!来ました」

竿が海面に突き刺さるように、絞り込まれている。

「うおっ、重たい。走るし何だろう」

ドラッグからラインが引き出されている。

歯を食いしばって、ラインを巻き取っていくと魚影が見えてきた。

「ニベです。デカイですよ」

船上に引き上げた、ニベは重かった。

「計ってみましょう」

10キロ有る。

「重いはずですよ」

「腕がパンパンに成りました」

続けて私にも、強いアタリが来た。

ラインがドラッグ音を響かせて、どんどん出行く。

「おりゃ!まけんぞ!うりゃ!」

海面に突き刺さっている竿を力任せで、起こしに掛かる。

磯釣りの癖が、こんな場面で出てしまう。

ラインが、巻き取られるようになってきた。

しかし、後少しかな…と思うところで「バシッ」と鈍い音がした。

PE3号のラインが切れた。

「えっ…やっちまった…」

多分、正体は大きなニベでは無いかと思うけど…「青物かな…」と、勝手に想像する。

温水さんと顔を合わせて、「やっちまいました」

仕掛けを作り直す前に「凪だし、ちょい深場のポイントに行きましょう」

取り逃がした口惜しさもあり、直ぐにポイント移動。

「ここは、温水さんは初めてのポイントですよね」

「魚礁が下にあります。ベイトはミルフィーユみたいな感じで出ています」

すると、直ぐにエソがアタリ出した。

我慢していると、温水さんにアタリが来た。

上がってきたのは、2キロくらいの小型のニベ。

「口から出ている浮き袋が、気持ち悪い感じです」

船の下にはベイトを追いかけて、ニベが寄っているのだろうか。

一緒に竿を出していた私に、再度の大当たり。

「おおっ、来たど。なんか来たど」

竿先をガンガンと叩くアタリ。

同時に、何度も真下に突っ込みを見せる。

「今度は逃がさん!」

竿を握る手に力を込めて、思いっきりラインを引き抜くように巻き上げる。

やがて、獲物が見えてきた。

「鯛や。デカイ鯛だ」

温水さんがタモを出して頂いた。

5.3キロ、74センチの雄の真鯛。

先のバラシの口惜しさが、少し晴れた気がする。

直ぐに、船を戻して魚礁に沿って流すように位置を調整する。

潮が、少し下り始めたようだ。

「なんか来た」

温水さんにヒット。

「なんか、軽いですよ」

上がってきたのは、アカヤガラ。

「美味しい魚ですよ。ヌルヌルしているから、扱いが大変です」

「持って帰って、捌いてみます」

と、クーラーへ納める。

ボチボチとアタリが出ているが、北西の風も出てきた。

「風が強くなってきましたね」

波も立ち始めた。

「移動しましょう」

潟よりのポイントに移動する。

すると、「なんか来た」と、温水さんが直ぐにアタリを捕らえた。

何度もラインが出ていくが、風と波で揺れる船上で頑張る。

上がってきたのは、ニベだった。

「腕がパンパンや」

これも、7キロ近い大きさだ。

「ニベも引きが強い。腕が筋肉痛です」

楽しい引きに、笑顔だ。

しかし、北西の風が強くなってきたこともあり、昼1時過ぎ帰港した。

「また、楽しみましょう」

「次も、頑張りますね」

笑顔で、船着き場に向かった。