11月1日一投目から

港を出たのが午前9時と、ゆっくりしていた。

沖波止を回ると「あれっ、ウネリがあるぞ」と、思いながらポイントを目指す。

船仲間から連絡が来て「朝は怖いくらいのウネリで、釣りが出来ずに帰ってきた」と、言っていた。

早朝は北風が強くて、波、ウネリが高かったようだ。

ポイントに入ると、程良い流れで下り潮が通していた。

「0.7ノット前後ですね」

Oさんと話しながら、魚探を確認する。

船仲間からの連絡でも言っていたが、北風がやや強い。

天気予報の等圧線に、見えない気圧の谷でもあるのだろうか。

魚探に出てくるベイト反応は、海底から浮き上がっている。

「良いですよ」

Oさんが、一投目を投入。

船の真下には、ベイト柱が立っている。

「来ました。一投目から来ました」

時折、ドラッグ音が鳴っている。

上り、下り、両潮いけるポイントだけに、期待通りで嬉しいヒットだ。

2キロクラスのカンパチが、上がってきた。

「これで、楽に釣りが出来ますね」

「一投目からヒットすると嬉しいですね」

自然と会話も弾む。

船を流す距離を長く取らず、直ぐに元の位置に戻す。

「ベイト反応は、まだありますよ」

次の当たりも、直ぐに来た。

ドラッグ音が鳴り、大物の予感がする。

「糸を持っていきますね」

「走りが重いですね」

我々の思いは「きっと、鰤ですね」と、期待してラインを巻き上げる。

見えてきた。

76センチ、5.1キロの大物、鰤だ。

2投目までに、カンパチと鰤を釣り上げる。

「出来過ぎのスタートです」と、笑顔が良い。

同じポイントを繰り返し流すのは、止めておきたい。

「後で、又来ましょう」

別のポイントへ移動する。

移動する毎に、少しずつ水深の有るポイントへ入っていく。

ベイト反応は、海底にへばり付いた感じになってきた。

潮の流れは、下り潮が0.8ノット前後。

少し沖合に出ると、北風が強くなってくるが、ウネリは釣りの支障になるほどではない。

「ジグに、何かが突っついて来るけど、掛からない」

「ベイトは、水深30メートル位の処に集まっています」

「海底から、随分上ですね」

「出来ることなら、そのアタリまで、しゃくり上げてみませんか」

魚探を見ながら、そんな話をする。

しゃくり上げるのも大変な仕事だ。

「来た。何か来ました」

「どのアタリでした」

「可成り上でした。一度巻き上げようかなと思っていたら来ました」

竿先がプルプルと、小刻みに震えている。

「鯖かな」

時折、鋭く走りを見せて、ラインが出ていく。

「ハガツオかな」

姿を見せたのは、2キロクラスのハガツオだった。

良型ハガツオの、突っ込みは楽しい。

深場のポイントでは、鯖とサゴシがヒットしてきた。

「エソも含めて、6種目達成ですね」

船上の会話も、益々楽しくなってきた。

「後、真鯛が来たら完璧ですね」

Oさんも、鯛ラバで真鯛狙いに集中する。

今日は、早上がりの予定になっている。

真鯛かな…と、思われるアタリがあったが、針掛かりしなかった。

「残念ですけど、上がりますか」

「そうですね。上がりますか」

一投目からの、アタリが楽しい釣りだった。