10月19日ボーズじゃ帰れない
綺麗な上り潮が、入っている。

1.5ノットで流れて、沖に払い出している。

北西の風が、強く吹いている。

風と潮の流れが、同じように沖に出ている。

流れが速くて、ポイントを直ぐに過ぎてしまう。

早朝から、苦戦を覚悟させられる一日となった。

「11月、12月と北西の風に悩まされるのかな…」

Zさんと、そんな話をしながら釣りを開始する。

毎日、潮の流れが違う。

しかし、ベイト反応は良い感じで出ている。

ベイト柱の高いモノは、海底から40メートル近く立ち上がっている。

着底も何とか取れているが、ジグをしゃくるには、風が問題になってくる。

アタリが出ないまま、時間だけが過ぎていく。

時計を見ると、9時近く。

ポイントに入ってから、既に3時間は経過している。

「今日は、明日の用事に魚が居るので、どうしてもポーズで帰るわけには行かない」

そう聞くと、私も頑張ってポイントを探すしかない。

「取り敢えずは、風を避けられるところに行きましょう」

島影に入る。

ベイト反応は、少ないが「頑張れば何とかなるだろう」と、力まないで考えることにした。

海底の起伏のあるところを攻めていくと、Zさんにアタリが来た。

それも、竿が立てられない程の強烈なアタリ。

正に、竿先が海面に突き刺さっている。

「あっ、切られた…」

太い、リーダーがザラザラになっている。

今日は、アタリが少ないと覚悟しているだけに、残念でならない。

でも、次のアタリは直ぐに来た。

これも、良い感じの引きをしている。

ゆっくりと巻き上げると、大きなオオモンハタが見えてきた。

1.7キロ有る、丸々としたオオモンハタだ。

「何とか、ボーズに成らなくて済んだ」と、ホッと一息入れる。

しかし、又しても沈黙の時間が続く。

「ポイントを変えましょう」

船を15分ほど走らせる。

移動したポイントには、良い感じのベイト反応が出ている。

ジギングを鯛ラバに変えて、じっくりと攻めていく。

しかし、潮の流れが2ノットを超すようになってきた。

「下潮が動いていないし、途中が速い気がする」

要するに、3枚潮になっている感覚が、ラインを通じてZさんに伝わっているようだ。

そんな中、Zさんにアタリが来た。

時折、鋭く走るアタリ。

「何だろう」

楽しみながら、ラインを巻き上げていく。

見えてきた。

「サメだ。ハンマーベッドだ…」

がっくりと、力が抜ける。

このハンマーヘッドが釣れたのを機に、ポイントを移動する。

「流れが3ノット近くになっていますので、浅場に行きます」

今振り返れば、最初から、潮が速いときは浅場で確実に着底を取るようにした方が良かった。

風も、北西から東に変わり始めた。

今度は、上り潮を押すような東風だ。

その東風に乗せて、船を流す。

すると、Zさんにアタリが来た。

「良い引きするな。真鯛かな」

と、思っていたら上がってきたのは、オオモンハタ。

2キロ有る良型だ。

ベイト反応が続いているので、船を戻さず流し続ける。

すると、アタリが続けてで始めた。

1.5キロ超の真鯛。

食べ頃サイズの真鯛。

2キロクラスのニベと、次々にヒットしてくる。

「これで、気持ちが楽になりました」と、Zさんに笑顔。

浅場だと、真鯛も寄り強い引きを、味合わせてくれる。

残念だったのは、大きなベイトボールに付いていた、カンパチのアタリを針はずれで逃がした事。

今日のメインターゲットだっただけに、残念でならない。

しかし、朝間詰めの潮と、風に苦戦を覚悟した事を思うと、嬉しい釣果だ。

ホッとした気持ちを胸に、帰港した。