6月26日 潮と向き合った日
上潮は緩く上ったり下ったり、時に沖に払い出したりと、動きが一流しごとに違う時間帯があった。

下潮は激流になり、ラインがどんどん引き出されるかと思ったら、仕掛けが真下に落ちていく事もあった。

内心「今日は、潮と真正面から向き合わなくちゃ」と、改めて思わされた。

スタートは、イサキ狙いからと思って入ったポイントは「潮が動いていない」状況。

風が南に変わる予報もあったので、直ぐに、そのポイントを見切り、移動する。

スタートから、移動を余儀なくされて「今日は、どうなるんだろう」と、ちょっと不安にもなる。

朝の海は、べた凪ぎに近い海。

そんな中で、長代さん、竹本さん、温水さんにポツポツとアタリが出始める。

長代さんのスタートは、食べ頃のチダイ。

竹本さん、温水さんにはウッカリカサゴやアヤメカサゴがヒットしてきた。

ジグは100グラムから、鯛ラバも100グラムからとやや軽めの仕掛けでベイトの中を探っていく。

竹本さんにアタリが来た。

重量感のある引きが、針掛かりした獲物を想像させる。

「真鯛かな」

「それにしちゃ、叩かんですね」

上がってきたのは、2キロクラスのニベだった。

「食べ頃ですね」

「この時期にニベか」

色々と複雑な心境のようだ。

次の当たりも、竹本さんに来た。

この辺りの前に、温水さんにもアタリが来たが、巻き上げる途中で針外れがあった。

竹本さんにヒットした獲物は、竿先を小刻みに叩き横に走る。

「鯖かな」と、誰もが思っていた。

しかし、海面に姿を見せたのは鰹だった。

走っているときは、ハガツオに見えたのだが、上げてみたら本鰹。

「良いですね」と、笑顔になる。

胸躍らせる大物は、この後竹本さんにヒットしてくる。

魚探から、ベイト反応が消えかけたこともあり「船を戻します」と、仕掛けの回収をお願いした時。

「なんか来ました」

竿先が海面に突き刺さるように、大きく曲がっている。

何度もラインが引き出され、ドラッグ音が鳴り響く。

「ゆっくりやりましょう」

「船底に入っていく」

「船を動かすと、ペラに当たることもあるので頑張ってください」

「ゆっくりやります」

途中で「もしかして、鮫かも…」と心配になる。

やがて姿を見せたのは、大きな鰤。

102センチ、9.1キロの見事な鰤だ。

検量をした後、直ぐに腹を割いて内臓を取り出す。

「この時期だから、少しでも虫除けしたい」との思いから。

鰤の興奮が収まった頃、長代さんにアタリが来た。

「真鯛だと良いけど」

竿先を叩くアタリは見せている。

上がってきたのは、赤甘鯛だった。

「ポイントを変えましょう」

沖目のポイントへ移動する。

この頃から、予報通り南東の風が吹き始めてきた。

この風の影響もあるのか、シタ潮の動きが益々速くなってきたように感じる。

「なかなか着底が取りづらいですね」

上は緩く、下は速いややこしい二枚潮。

ベイトの中に仕掛けを落としても、なかなか反応しなくなってきた。

「底取りのし易いところに移動しましょうか」

浅場を目指して移動している途中に、魚探が水深を間違えるほどのベイト反応が出た。

「仕掛けを落として見ましょう」

温水さんの意見もあり、直ぐに仕掛けを入れてみた。

温水さんにアタリが来た。

丸々とした、大きな鯖がヒットしてきた。

長代さんにも、アタリが来た。

 

竿が気持ち良い位に、曲がっている。

ドラッグ音も鳴り響いている。

「鰤みたいですね」

「ゆっくりやってくださいね」

みんなで、魚が浮いてくるのを見守る。

やがて、その姿が見えた。

「おおっ、でかい鰤だ」

105センチ、10.5キロの丸々とした鰤が上がってきた。

「疲れました」と、長代さんの笑顔が良い。

次のベイト反応を見つけて、仕掛けを入れると竹本さんにアタリ。

 

しかし、上がってきたのは大きな尾長サメだった。

針をはずして、直ぐに放流。

その後も、ベイト反応を見つけては仕掛けを入れると、何かのアタリは出てくる。

カサゴも、良型が多い。

しかし、南東の風が強まると、二枚潮に益々苦戦するようになってきた。

「風が強くなってきましたね」

本当なら、もう少し頑張ってみたかったけれど、今日はここまで。

「次回も、潮と向き合いながら頑張りましょう」

そんな話をしながら、帰港した。