開進丸
6月4日 時化る前にアタック
船着き場を離れて、沖波止を回る頃、沖から入ってくるウネリの高さに驚いた。
船が上下動して、船首が波を掬ってしまう。
「うわっ、何でこんな早くから時化てるの」
北よりの風も強く吹いているし、沖合のポイントまで行けるかな…と、心配になる。
温水さんと波の揺れを気にしながら、船を走らせる。
どうにかポイントにはいると、直ぐにベイト反応が出てきた。
温水さんが直ぐにジギングを始める。
波と風で船が揉まれることもあって、足下の確保をしっかりとする。
1流し、2流しとなかなかアタリが出ない。
その内に風が北東に変わり、船が流れるコースも変わってきた。
「コースが変わってきたので、流し始めの場所を調整しますね」
流し始めの位置を北側に移動して、3流し目に入る。
「何か来ました」
温水さんの竿が、アタリを捕らえた。
「余り引かないですけど、重いです」
上がってきたのは、2キロクラスのニベ。
「お土産が釣れました」と、ホッとした表情。
満潮の潮止まり前の、アタリが出る確率の高い時間帯になってきた。
しかし、期待に反して、なかなかアタリが続かない。
その内に、北東の風が益々強くなり、近くにいた仲間は風の当たらないところに移動していった。
我々は、もう少し粘ってみた。
頑張ってみる物の、自然の力にはかなわない。
「何か、波が高くなって来ましたね」と、温水さん。
私も、波が高くなって北東の風も強くなってきたことが気になっている。
「移動しますね」
北東の風の風裏になる、内場に移動する。
沖が時化たときは、内場には船が集中する。
ベイトを探して、流してみるが2~3度程のバイトはあるが、途中で針が外れる。
「鰺かもしれませんね」
昼近くまで、ポイントを変えながら探ってみたが、良い結果には結びつかなかった。
「今日は、諦めて帰りましょうか」
北東の風に向かって、帰港した。