3月14日 べた凪の海

「こんなべた凪は、滅多にないでしょう」

「そうですね。今年は初めてかな」

バレーボール審判時代に教えを請うた、金丸先生(旭先生)と久し振りの釣行。

「真鯛が釣りたいですね」

「釣れると良いですね。頑張って釣りましょうね」

釣れ始めて、1時間経過、2時間経過…3時間経過、何故かアタリが出ない。

「釣れませんね」

「困りましたね」

魚探には、ベイト反応は出ている。

原因は、これだろうと思われる物が一つある。

昨日からの潮の変化。

「上り潮もどき」と、私は呼んでいる。

潮は北に向かって流れる「上り潮」なのだが、色は菜っぱ潮。

水温が下がって、上っ面だけが上って、中潮、下潮は下りの二枚潮なのではないだろうか。

仲間の漁師さんも「上り潮もどき」と言ったら理解してもらった。

潮が悪くとも、何とかしなくちゃ。

沖合に潮目らしい物が見えたので、直ぐに移動する。

何かが海面を群れをなして、泳ぎ回りナブラをたてている。

「スボタかな…」

同じ所を3度流しても、アタリが出ない。

「旭先生、移動しましょう」

「何処に行きます?」

「ベイトを探します。勘を頼りにします」

今回は、勘が当たった。

「ベイト反応は有ります。仕掛けを入れてください」

すると、一投目に旭先生にアタリが来た。

「なんじゃろかい」

「真鯛だと良いですね」

上がってきたのは、1キロ超の良型のヒラメ。

「良かった。ヒラメを初めて釣りました」と、旭先生の笑顔とVサイン。

続けてアタリが来た。

今度は、1キロ超の真鯛。

「鯛やヒラメの舞い踊りですね」と、又してもVサイン。

「良かったですね。これで、後はノンビリ釣りましょう」

ノンビリ釣りと決めたら、ホール中にアタリが来た。

上がってきたのは、アカヤガラ。

「どうやって捌こう」

「刺身が美味しいですよ。私が頭を落としておきますね」

頭と内臓を取って、氷の中へ。

この後もアタリが続く。

仕掛けの巻き上げ中に、強烈なアタリでリーダーが切られた。

着底とほぼ同時に、竿が突っ込んだ。

しかし、針はずれで逃がしてしまった。

次も「何か重いです」と、併せた瞬間に針を着られた。

「口惜しいですね」

「旭先生、頑張りましょう」

今度のアタリは、ガッチリと針掛かりした。

「真鯛やろかい」

「それなら嬉しいですね」

上がってきたのは、1キロ超の地グロ。

「メジナも釣れるんですね」

旭先生のVサインが嬉しい。

「今日は、ヒラメや真鯛、メジナで一杯やれますね」

笑顔で帰路に就いた。