11月15日 貴重な一枚
激シブの一日だった。

西風が強く、潟から白波が立つ一日でもあった。

ベイトはいる。

柱状になっていたり、ゴマを散らしたように成っていたりと、形は様々。

潮は西風に押されて、ゆっくりと沖に出る上り潮。

旭先生が久し振りの鯛ラバで、真鯛を狙って竿出し。

なかなか、アタリが来ない時間が続く。

少しでも海底に変化のある処を攻めようとポイント移動を繰り返す。

巻き上げ回数を減らしたり、増やしたりして攻め型も工夫する。

しかし、アタリが来ない。

2~3度、根魚かなと思われるようなアタリはあった。

竿先がググッと押さえ込まれるが、針に掛からない。

「今のは、アタリやったよな」

「そうですよね。食いが渋いな」

海水に手をつけてみると、この1ヶ月間で一番冷たく感じる。

「先生、昨日の雨で水温が少し下がっているかもしれません」

「それが原因やろうか」

「分からないですが、ベイト反応の多かったポイントに行ってみましょう」

船で通過するたびに、結構なベイト反応のあったポイントに一縷の望みを掛ける。

お日様は、なかなか顔を出さないし、肌寒い感じがするし…。

「瀬が荒いですよ。瀬掛かりに気をつけてくださいね」

一流し目にアタリが来たが、直ぐに瀬取られた。

「根魚が走ったかな」

同じ処をもう一度流してみる。

すると「来た!やっと来たよ!」

竿の叩き方を見ていると、「これは、真鯛ですよ。ゆっくり行きましょうね」

「外れんければ良いがな」

長い時間、アタリが出なかっただけに、やり取りも慎重だ。

やがて、真鯛の姿が見えてきた。

1キロ超の良型の真鯛が上がってきた。

「良かった。今日はボーズで帰らんなんやろうかと思うちょった」と、旭先生の笑顔。

私も、先生をボーズで帰さずに済んで嬉しい。

「旭先生、貴重な一枚が真鯛で良かったですね」

「私も、嬉しい。ホッとした」

空は曇り空だけど、気持ちは青空になった。