9月7日 海上の虹
強い西南西の風に運ばれて、雨雲が次々と流れてくる。

「あれ、雨だよね」

「雨ですね。山が見えなくなった」

雨雲が降らせる雨が、風に乗って流れていくのがよく分かる。

私たちの処にも、時折雨粒が飛んでくる。

「虹が出たね」

「綺麗な虹ですね」

雨雲の隙間から差し込む光が反射して、綺麗な虹が輝いている。

本虹と色の構成が逆になっている二つ目の虹も、うっすらと出ている。

脇坂さんと、虹の話をしていたら、私に最初のアタリが来た。

歯を食いしばる降りをしていたら「そんげ大きな魚じゃ無いやろ」と、見抜かれてしまった。

上がってきたのは、1キロ超のハガツオ。

尾びれに、針が掛かっていた。

脇坂さんにも、アタリが来た。

「竿が海面に突き刺さっている様に撮れた?」

「大丈夫。ハガツオって直ぐ分かる」

上がってきたのは、此も1キロ超の良型。

まずまずの良い出足だ。

ハガツオを血抜きして、クーラーに納めていると脇坂さんに続けてアタリが来た。

船の下に走り込んでいる。

「走るね」

「ハガツオですよ」

やはり1キロ超のハガツオが上がってきた。

鯖も当たってきたが、振り上げる途中で針はずれ。

しかしこの後、西南西の風が南西に変わり、雨が大島の半分を見えないくらいに降り出した。

私たちの処にも、大粒の雨が降り始めたので、船の向きを南西に向けて釣りを中断。

スマホで雨雲の様子を確認すると、次々とこちらに流れてくるようだ。

「ちょっと早いけど、帰ろうか」

船を油津に向けて走らせていると、激しい雷鳴が轟いた。

ゴロゴロバリバリと凄い雷鳴だ。

土砂降りの雨には遭遇しなかったが、船のスピードを上げて雷が逃げるように帰港した。