開進丸
7月3日 ダブルヒットは、楽しい
「もしかしたら、台風3号の影響が早く出るかも知れませんね」
「釣りが出来なくなりますかね」
「風が南西になって、強く吹き始めると思います。昨日も風が強かったです」
東シナ海に発生した台風3号の影響が気になるが、今はまだ大丈夫だ。
今日のポイントは、瀬回りを攻めるのではなく、纏まっているはずのベイト探しから始まる。
沖合に出ると、所々に海面で、さざ波が立っている処がある。
「あれは、ナブラですか」西村さんも気になる様だ。
1カ所だけではない。
沖合の至る所に、さざ波みたいになっている処がある。
魚探には、もの凄いベイト反応が出ている。
突然、船の後方で、何か大きな魚のナブラが立ち、水飛沫が立ち始めた。
急いでジグを投げようと思ったが、焦っている時は、針が引っかかってトラブルになる。
結局、間に合わなかった。
しかし、ベイト反応は凄い反応が出ている。
西村さんと一緒に私もジグを落としていく。
その一流し目。
潮は、ゆっくりとした上り潮が、動いている。
「来た。何か来た」西村さんの竿がアタリを捕らえた。
タモを準備するため、仕掛けを早巻きで巻き上げていた私にもアタリが来た。
「来た、何か来た」
「凄いですね。ダブルヒットですね」
竿を叩く引きから、どちらも真鯛のようだ。
上がってきたのは、西村さんも私も真鯛だった。
キロ前後の、食べ頃サイズだ。
「出足良いですね。まさか、真鯛のダブルヒットとは思わなかったですね」
賑やかに話をしていたら、西村さんにアタリが来た。
重々しい感じの引きだ。
「これは、大きな根魚かな。真鯛かも知れない」
色々想像しながら、ラインを巻き上げていく。
「後少しですね」
もう少しで、獲物の正体が見える。
しかし、ここから強烈な走りを見せ始めた。
何度も船底に入ろうとしている。
「青物ですね。慎重に行きましょう」
やがて、海面に姿を見せたのは綺麗なハマチだった。
67センチ、3.4キロの丸々と太ったハマチだった。
「これは、太ってますね。良い感じのハマチですね」と、西村さんも嬉しそうだ。
やり取りをしている間に、魚探にベイト反応が出なくなった。
「船を戻します」
ベイト反応を探しながら、船を戻す。
見つけたところで、直ぐに仕掛けを落としていく。
西村さんにアタリが来た。
綺麗な真鯛が上がってきた。
次のアタリは、仕掛けのホール中に来た。
丸々と太った鯖だった。
「血抜きをしておきますね」
鯖の処理をして、ポイントを移動する。
「割と白甘鯛の出るポイントに行きましょう。一昨日は、良型が出ています」
ポイントを移動して、私も竿を出してみた。
すると、私にアタリが来た。
重々しい引きだが、真鯛ではない様だ。
上がってきたのは、40センチ超のイトヨリ鯛だった。
この頃から、南西の風が強くなり始めた。
「白波が出てきましたね。余り長くは居られないかも知れませんね」
南西の風の影響で、底取りが難しくなってきた。
ポイントを移動する。
「ここなら、水深も比較的浅いし、ベイトも居ますからアタリが来ると思います」
西村さんが釣りを再開。
魚探を見ていると、時折、ベイトが激しく乱れて、海底から浮き上がっている。
「私も、竿を出してみます」
すると、私に直ぐにアタリが来た。
ラインを思い切り引き出して、強い走りを見せている。
上がってきたのは、64センチ、3.3キロのハマチだった。
「ハマチもダブルになりましたね」と、自然と笑顔になる。
西村さんにもアタリが来た。
アヤメカサゴだった。
「唐揚げが美味しいですね」と、クーラーへ。
徐々に南西の風が強さを増してきた。
「これ以上は、無理せずに帰りましょうか」
西村さんと話をしていると、アタリが来た。
「締めの魚が来ました」
上がってきたのは、ホウボウ。
「この魚、見た目は変わってますけど、美味しいと評判ですよ」
血抜きの処理をして、クーラーに納める。
ここで、今日の釣りを納める。
南西の風を追い風に、帰港した。
港に帰って、捌いたハマチには、気になる虫は入っていなかった。
「味醂干しにします」
妻に渡して、捌いて貰った。