開進丸
6月29日 久し振りの出船
「今日は、釣れると良いね」
「久し振りですよね。魚が居るかな」
港を出るとき、釣れるだろうかという不安と、期待が交錯していた。
「頑張ってみようや」
従兄弟の細田信司(以下、信司)に、竿を出す様に進める。
「此処のポイントは、特徴は海底の窪みだよ。ベイトは、其処に集まっているよ」
潮は、下り潮がゆっくりと払い出している。
船の流れる速さは0.3ノット前後。
殆ど流れないと、言っても良いくらいだ。
その中で、信司がアタリを捕らえた。
「ホール中に何か来ました」
ラインが、引き出されている。
「良い感じの引きやね。真鯛やね」
竿先を激しく叩く引きは、まさしく真鯛の引きだ。
海面に綺麗な真鯛が、姿を見せた。
65センチ、2.5キロの綺麗な真鯛。
「久し振りだったので、緊張しました」
信司の、ホッとした笑顔が良い。
「一流し目にアタリを捕らえたね。出足良いね。私も竿を出そうかな」
私も、信司の隣で竿を出すことにした。
すると、私にアタリが来た。
「信司の真鯛よりも大きいかもよ」
ドラッグ音がなり、ラインが出ていく。
そのやり取りを楽しみながら、真鯛を浮かしていく。
73センチ、3.3キロの真鯛が上がってきた。
「やったね。信司より大きいね」と、笑顔で記念写真。
次のアタリも直ぐに来た。
良型のウッカリカサゴだった。
「これは、刺身が取れますね」
美味しいカサゴを手に、今夜のカサゴ料理を考える。
アタリは続いて、私にオオモンハタが来た。
「良い感じのオオモンハタやね。久し振りに釣ったかな」
4回くらい流したところで、ポイントを移動する。
「ここは、初めてやろう。駆け上がりの瀬がポイントだよ」
「ベイトが立ち上がっていますね」
「何かが居るかもよ。最初はジグでやってみるよ」
信司が鯛ラバ、私がジグでトライしてみた。
その一流し目に、私のジグにいきなり大当たりが来た。
「ラインを新しく巻き替えていて良かった」
上がってきたのは、2キロ超のオオモンハタ。
今度は、信司にアタリが来た。
上がってきたのは、大きなアカヤガラ。
美味しいアカヤガラだが、今回は海に帰す。
なかなか潜っていかなかったが、やがて見えなくなった。
信司に続けてアタリが来た。
「おおっ、ビックリした」
横を走る船を眺めていたときに、いきなりのアタリが来た様だ。
体高のある、キロ超のオオモンハタだ。
「此処のオオモンハタの引きは強いですね」
ジグをひったくる様なアタリを見せるオオモンハタに、チョット驚いた表情だ。
この後もボツボツとアタリが来て、ガンゾウヒラメや鯖などが上がってきた。
「ポイントを変えようか」
大島東沖に移動する。
最初のアタリは、私に来た。
ドラッグ音が鳴り、ラインが引き出されるアタリ。
「きっと真鯛やと思う。ゆっくりやるね」
と、余裕を見せていたら、針が外れた。
「4回も走ったのに、失敗したね」
チョット残念だが、逃げた魚は取り返せない。
信司にアタリが来た。
チダイが、小気味よいアタリを見せて上がってきた。
この後も、レンコダイやガンゾウヒラメが連続して、信司の竿を曲げた。
「このガンゾウヒラメ、大きいね。こんな大きいガンゾウヒラメは久し振りかな」
「肉厚もあって、刺身も取れると思うよ」
釣った魚は、美味しく料理する。
信司の腕も、上がってきたのだろう。
朝は、曇りで丁度良い感じだったが、お日様が顔を出すと急に暑くなる。
「そろそろ帰ろうか」
暑くなって来た事もあり、帰港した。