開進丸
6月14日 やったね、良いね。
早朝の船着き場。
「波がないと良いですね」
「そうですね。気になりますね」
不安と期待を持って、港を出た。
猪崎鼻の岩場を見ているが、波がない。
「これは、良い感じかも」と、自然と期待が膨らむ。
大島の北側を通って、沖合のポイントを目指す。
「潮の色は良い様に見えますけど、少し下り気味かもですね」
ポイントに入ると、やはり潮は下り潮だが、菜っ葉色と言うほどではない。
「ベイトも瀬回りに居ますし、やってみましょう」
潮は、0.6ノット前後で南に流れている。
風も、西風が穏やかで、波も立っていない。
その一流し目、西村さんに早速アタリが来た。
「来ました。ラインが出ます。ちょっと、緊張しますね」
竿を出して、直ぐのアタリに、期待が広がる。
「この引きは、真鯛ですね」
竿先を叩くアタリを見せながら、ピンク色した真鯛が姿を見せた。
66センチの良型の真鯛だ。
「早速やりましたね!」
ガッチリと、祝福の握手。
西村さんの笑顔が、輝いて見える。
2流し目に入り、少し流すコースを沖側に取る。
「来ました」
又しても、直ぐにアタリが来た。
上がってきたのは、良型のイトヨリ鯛。
「今の引きは、イトヨリ鯛とは思えぬ引きだったけど…」
引きからして、私も真鯛と思っていた。
しかし、その真鯛の引きは、直ぐにやってきた。
「おおっ、これは強いです」
ドラッグ音が鳴り、ラインが引き出される。
「大きいと思います。ゆっくりやりましょう」
西村さんが、慎重にそして大胆にラインを巻き上げていく。
巻き上げていく途中で、何度もラインが引き出される。
「この走り、楽しいですね」と、笑顔が良い。
海面に、74センチの見事な真鯛が姿を見せた。
無事にタモに入る。
「やった!」「やりましたね!」
西村さんの、満面の笑みが輝く。
「やったね。やりましたね。良いね」と、2度目の祝福の握手。
「これで、前回のリベンジも果たせました。嬉しいです」
「今日は、気持ちいい釣りに成りましたね」
出足の良い釣りに、この後も期待が広がる。
「ポイントを変えましょうか」
満潮の潮止まりになったこともあり、ポイントを移動する。
南に向けて船を走らせ、ベイトが居るポイントを探す。
「此処は少し水深がありますけど、良い感じのベイトがいます」
仕掛けを落とすと、私にアヤメカサゴが来た。
直ぐ後に、西村さんにもアヤメカサゴが来た。
「美味しい魚が来ましたね。味噌汁が良いですね」
しかし、干潮に向かって潮が動き出して、海の様子が変わってきた。
「アタリが出なくなってきましたね。下潮が斜めに入り始めましたね」
上は余り動かず、下潮は潟に向けて突っ込み始めた。
「下りの二枚潮かな…」
「ポイントを変え増ましょう」
ポイントを水深50メートルの潟寄りに変える。
すると、私に40センチ超の真鰺が来た。
「良い真鰺が来ました。反応の出ているベイトは真鰺みたいですね」
しかし、後が続かない。
西村さんも、ジグや鯛ラバで頑張っているが、午後は苦戦気味。
「何か来ました」
上がってきたのは、丸々としたエソだった。
私にも、何か来た。
上がってきたのは、型の良いカマスだった。
「他の仲間達も、午後は苦戦しているみたいですね」
風も、西から北東に変わり始めた。
「今日は、出足良い釣りが出来て良かったですね」
「嬉しいですね。この調子で、又頑張りますよ」
大きな真鯛をクーラーに納め、笑顔で帰港した。