開進丸
4月30日 潮を探して
最近は、二枚潮だったり、速すぎる潮だったり、反対に動かない潮だったりと「良い潮だね」と言える潮に、なかなか当たらない。
「今日は、どっちに行ってみましょうか」
「私は、最近水島方面に余り行ってない気がします」
Bさんの気持ちを優先に、水島方面に行ってみる事にした。
「私も、久し振りかな」
と、塩田さんも期待が膨らんでいる。
「ゆっくりとした上り潮ですね」
「ベイトもまずまず出てますね」
一流し、二流しするがアタリが出ない。
船を流すコースを少し、南側に移動する。
「来た!ホール中に当たった!」
塩田さんの竿が大きく曲がり、ドラッグ音が鳴る。
「ラインが止まらない」
「少し、船で追いかけましょうか」
船をバックさせ、体勢を整えラインを少しずつ回収する。
「おっ、急に楽に巻ける様になりました」
針掛かりした獲物が、少しずつ上がってくる。
「真鯛ですね」
64センチ、3キロ弱の綺麗な雌の真鯛だ。
「出足良いですね」
今日のこれからの釣りに、益々期待が膨らむ。
Bさんにも、アタリが来た。
「余り引かないです」
上がってきたのは、レンコダイ。
「真鯛じゃなかった」
と、少し残念そう。
「あっ、クルーズ船が入ってきた」
油津港に帰港する豪華クルーズ船が、直ぐ傍を通っていく。
「豪華な船だね」
羨望の眼差しになっているかな。
「何かヒットした」
塩田さんに、ウッカリカサゴが来た。
「カサゴは嬉しいですね」
Bさんにもアタリが来て、カイワリが上がってきた。
「顔の黒いカイワリですね」
この頃から、潮が二枚潮になってきた。
上がゆっくりとした上り潮、下潮が速い下り潮。
「ほら、鯛ラバがこんなに冷たい」
塩田さんの鯛ラバを触らせて貰うと、冷やっとした感覚が手の平に伝わる。
「随分と、下潮は冷たいですね」
「潮が活きているところを、探してみますか」
此処なら良いかな、と思えるポイントを移動する。
南方向に、潟近くに、潮目が出来ていそうな処にと、移動を繰り返して潮を探す。
「南西の風が強くなってきましたね」
気が付くと、西風が南西に変わってきている。
「チョット浅場のポイントを攻めてみますか」
そのポイントは、潮が上も下もゆっくりと上っている。
「ここなら、何とか良い釣りになるかもですね」
Bさんに直ぐにアタリが来た。
良型のチダイ。
「取り敢えず鯛が釣れました」と、笑顔が出る。
塩田さんにも強いアタリが来た。
上がってきたのは、大きなエソ。
「持って帰って、すり身にして天麩羅を作ってみます」
魚料理のうまい塩田さんが、最近トライしているエソ料理、美味しい天麩羅になるだろう。
今度は、Bさんに強烈なアタリが来た。
「おおっ、ラインが出る。余り暴れないでね」
魚をなだめる様に、ゆっくりと巻き上げていく。
76センチ、4キロ超の見事な真鯛。
「良かった。真鯛が釣れました」と、飛び切りの笑顔。
「80に、後少し足りないね」と、ちょっぴり口惜しそう。
船を戻して「ラスト1流し」に入る。
すると、今日の締めのアタリがBさんに来た。
「合わせが、しっかりあいました」
ゆっくりと、引きを楽しみながら上がってきたのは、良型の真鯛。
58センチの綺麗な真鯛だ。
「良い締めになりましたね」
このBさんの真鯛を今日の締めにして、帰港した。