開進丸
4月20日 曇り空に真鯛
「風が変わらなければ良いですね」
牛衛正弘さん、裕次さん、親子での日南での初船釣り。
「何かが釣れると良いですね」
空は雨雲が広がり、時折、パラッと雨粒が落ちてくる。
大島沖のポイントに向かう海上は、北東からのウネリが寄せてくる。
「潮の色は、そんなに悪くないですね」
「良い感じですね。昨日は、このあたりでは良型の鰺や鯖が釣れていたみたいですよ」
ポイントに着くと、直ぐに魚探を確認する。
「ベイトは、立ち上がった状態で出ています」
お父様の正弘さんが鯛ラバで、息子さんの裕次さんがジギングで釣り開始。
鯛ラバ初挑戦のお父様を気遣って、裕次さんが色々とアドバイスを送っている。
すると「来た。何か来た」と裕次さんにヒット。
お父様にも、何かがヒットしてきた。
裕次さんのヒットは、35センチクラスの良型の真鰺。
「鰺が来た。これは良い型や」
お父様のヒットは、アヤメカサゴ。
「釣れたね。これでボーズじゃないから嬉しいね」と笑顔。
お父様のドラマは、この後に訪れる。
この後、お二人には真鯖やゴマ鯖のアタリが連続する。
「丸々と太った鯖ですね」
次々とヒットが続き、船上に釣り上げる度に鯖の血抜きをする。
「今は、ヒットが続いて楽しい時間ですから、写真は後にしましょう」
ジグや鯛ラバに枝針を付けると、針の数ほどの鯖が上がってくる。
「おおー、これは走るね。力が強いね」
お父様の正弘さんが、魚とのやり取りを楽しんでいらっしゃる。
時折、ドラッグ音が鳴り、ラインが出ていく。
「また、鯖が2匹やろうか」と、楽しそう。
海中に魚が見えてきた。
上の枝には鯖が見える。
「あっ、下は真鯛だ」
裕次さんが、いち早く真鯛を確認。
「鯖は良いから、真鯛を掬ってください」
「了解。えい!」
私も気合いを入れて真鯛をタモに納める。
65センチ、3.1キロの見事な雄の真鯛。
お父様と、ガッチリと祝福の握手。
「うわっ、俺も負けちょられん」
息子さんの裕次さんにも、気合いが入る。
ベイトの中に仕掛けを落とすたびに、何かがヒットしてくるのだが…。
「あっ、アヤメカサゴだ」
「今度は、真鰺やけど型は良いな」
「偉い走り回る鯖や!」
お父様は「俺は、満足!真鯛が釣れたし大満足」と、満面の笑顔。
親子のライバル心が、ちらっと楽しい火花が見える。
釣り始めから、終始お父様の体調を気遣っている、裕次さんの笑顔も又良い。
親子での釣りの1日は良いもんだ、と羨ましくさえ思える。
釣りの途中で、タンカーに乗っている横山さんから牛衛さんに連絡が来た。
「船長、あのタンカーです」
牛衛さんに教えて貰って、タンカーに向かって手を振ったけど見えたかな。
昼過ぎにイルカの大群が、船の周りに姿を見せた。
「うわっ、見える範囲にイルカが居る」
「こんだけ居たら魚は逃げる」
右も左も沖合も、数頭ずつのイルカの群が泳いでいる。
「今日は、上がりましょうか」
楽しい親子の釣りは、曇り空を跳ね返した楽しい釣りになった。