開進丸
4月12日 午後から出てみましょうか
「昼から、出られそうです」
「良かった。12時過ぎに港に着きます」
午前中に海の様子を確認して、連絡する。
予報でも、午後からの方が風も大人しくなりそうだった。
予定どおり、12時30分に港を出る。
猪崎鼻の白波が少し気になったが、少しウネリが残る中、船を走らせる。
見渡す限り、菜っ葉潮になっている。
先に出ている仲間からは「緩い上りが沖に出ていますよ」と、連絡を受けている。
風も東に回り始めているが、気になるほどではない。
ポイントにはいると、潮は緩い上りの様だが、風が東になって船は潟に向かって流される。
始めは、海底付近に映し出されているベイトに向かって、ジグを落としてみる。
「下潮が、結構流れていますね」
見ていると着底は取れるが、仕掛けがドンドン沖に流されていく。
鯛ラバに変えて、海底の駆け上がりになっているところを探ってみる。
「何か来た」
鯛ラバに絡む様な、ネクタイに噛みついている様な、アタリだ。
竿先を叩き、途中で反転して抵抗する。
「鯛かも知れない。ゆっくり巻き上げますね」
巻き上げる途中で、急に反転して走り出し、巻き上げが出来ない。
暫く耐えていると、針が外れた。
「何でした」
「何やったろうか。多分鯛だと思います。掛かりが浅かったのかな…」
気を取り直して、針を確認して再度仕掛けを落としていく。
「また、何か来ました」
続けて、何かヒットしてきた。
「あっ、鰺だ」
30センチ弱の真鰺が上がってきた。
まずまずの出足かな。
船が真っ直ぐに潟に向かって、流されていく。
「東風が強くなってきましたね」
船を戻して、少し南側のコースを流していく。
「何か来ました」
竿先をコンコンと時折叩く。
「何のようですか」
「何かな。鯛ではないようです」
ゆっくりと巻き上げていくと、イサキが上がってきた。
良型の今が旬のイサキだ。
「良いイサキが来て、嬉しいですね」
イサキは群れているので、直ぐに仕掛けを落としていく。
しかし、後が続いてこない。
その内に下潮の流れがドンドン速くなって、釣りづらくなってきた。
「ポイントを変えてみましょうか」
船を走らせていると、急に北東の風が強くなってきた。
「あれ、風が急に変わりましたね。強くなってきましたね」
波も高くなって、三角波になってきた。
風は北東から、ウネリは南からと波と風が暴れ始めた。
魚探には、沢山のベイトが写り始めているのだが…。
「なんか波が高くなってきましたね」
「そうですね。バタバタしてきましたね。浅場に移動しますか」
風を気にしながら移動するが、益々波が高くなってきた。
「チョット早いけれど、今日は帰りましょう」
風と波を避けて、帰港することにした。