開進丸
3月10日 風が吹いてきません様に…お願い
朝一発目のアタリは、強烈だった。
ポイントに入り、清田さんが鯛ラバを落として誘い上げていく。
「来た!来ました」
一投目の誘いに、竿先を強烈に曲げるアタリ。
ラインがジジーと、どんどん出ていく。
走りを止めようとした時、ラインが切れた。
今度は、私の従兄弟の信司に来た。
竿先が、ギューンと魚に引っ張られ、良型の獲物が来た事を教えている。
「来たぞ!」
合わせを入れて、巻き上げようとした瞬間、針が外れた。
「大丈夫、又来る。絶対来る」
北西の風が吹いているが、気になる強さではない。
潮も、北に流れる上り潮。
ベイトも、立ち上がったり、くねったりして海底から少し浮き上がっている。
清田さんにアタリが来た。
「なんか、小さいですね」
上がってきたのは、小型のイトヨリダイ。
「最初の一匹目ですね」と思わず笑顔になる。
信司に、何かが来た。
来たと言うより、何かが掛かったと言うべきか。
「重い、重い」と言いながら、引き上げてきたのは珊瑚なのか何なのか、クネクネと触手が動く大きな固まり。
針を外して、直ぐに海に帰す。
「何やろうかね」
信司に続けてアタリが来た。
上がってきたのは、アオハタ。
「まずまずの型やね。今夜は鍋やね」と笑顔になる。
ポイントを変えると、信司に又してもアタリが来た。
今度は、良型のオオモンハタ。
「これの刺身が美味しかったですよ」と信司が笑顔で話している。
「今夜は、この2匹のハタで飲めますね」と、清田さんと笑顔だ。
「信司、潮が少し緩んできたね。ポイントを変えようか」
「はい、何処に行きますか」
「今度は、少し深めのポイントに行こうか」
朝から1.5ノット前後で流れている上り潮が、0.8ノット前後と少し緩んできた。
「良い感じで着底が取れます」
清田さんにアタリが来た。
その直ぐ後に、信司にもアタリが来た。
竿先を叩くアタリに「これは鯛みたいです」と、少し緊張気味の清田さん。
上がってきたのは、キロ超の綺麗な真鯛。
信司のアタリは、最初のアタリが強烈に走った。
「ゆっくり出良いよ」
上がってきたのは、2キロクラスの真鯛。
「おーっ、デカイですね」と清田さんが嬉しそうだ。
「一緒に撮りましょうか」
仲良く二人並んで「ハイ、マダイ」と、記念写真。
「まだ来ると思います」
信司と清田さんが、頑張って竿を振る。
すると、信司に強いアタリが来た。
「これは、底を走ります。ハタの大きいのみたいな気がします」
「慌てんで良いど。ゆっくりやれよ。楽しめよ」
私と清田さんは、横で応援。
「見えた。あれ、鯛だ。ハタかと思った」
3キロの真鯛が上がってきた。
「良い型ですね」
清田さんが、信司以上に嬉しそうだ。
「久し振りに、この型を釣りました」と信司も笑顔だ。
「信司、この沖に初めてのポイントがあるけど行ってみる」
「行きます。行かなきゃダメでしょう」
「でも、ベイトが居ないかも知れんよ。ボーズ覚悟だよ」
「それは、平気です」
そのポイントに移動すると、底付近に薄っすらとベイトは出ている。
信司と清田さんが頑張っているが、西の風が少し騒ぎ始めた。
「ちょっと風が騒ぎ出しましたね。移動しましょう」
南西のポイントに移動。
すると、清田さんにアタリが来た。
上がってきたのは、キロ超の真鯛。
「2匹目が釣れました」と、笑顔が花開く。
「今日は、一日中風が強くならなくて良かったね」
「そうですね。私たちは凪男ですね」と信司が笑顔で話している。
「そうやね。また、次も凪だと良いね」
「清田さん、北海道でも頑張ってくださいね。帰ってこられたら、又来てください」
楽しい会話で、港に帰った。