3月4日 口惜しいけど、今日はやられた
釣果の方は、少しずつ上向きになっている気がする。

一方で、潮の活性はイマイチのように感じる。

潮行きは上り潮。

しかし、潮色は黄緑が入った、いかにも水温が低そうな潮になっている。

思い思いのポイントに入っている仲間からは「潮が緑色でアタリが来ない」と、連絡が来る。

今日も少しでも、好釣果に恵まれると良いのだが…。

最初のアタリは、堀部さんに来た。

北西の風がやや強い中、鯛ラバにアタリが出た。

「重いアタリですね」

上がってきたのは、ガンゾウヒラメ。

船釣り初挑戦の、中村さんにもアタリが来た。

しかし、竿先を叩くアタリだったが、巧く針掛かりしなかったようだ。

「大丈夫。又来ます」

堀部さんに、又アタリが来た。

竿先を小刻みに叩くアタリに「鯛かも知れない」と、ちょっと期待する。

上がってきたのは、イトヨリダイ。

「白身の美味しい魚ですよ」

「イトヨリダイが来たよ」と笑顔。

今度は、内田さんにアタリが来た。

魚は針掛かりしているのだが、大物仕掛けだけに竿が余り曲がらない。

上がってきたのは、アオハタ。

「やった、ハタが来た」と嬉しそうだ。

程良い感じで、アタリが繋がっている。

堀部さんに、竿先を叩くアタリが来た。

「今度こそ、鯛だと思います」

「ゆっくり、やりましょう」

慌てず、ゆっくりとラインを巻き上げると、ピンク色の魚体が見えてきた。

キロクラスの、真鯛が上がってきた。

「この真鯛で、調子が上がっていきますよ」

しかし、少し沖に出ると、潮が1.5ノットの速さになって、着底が取りづらい。

比較的、浅場のポイントを、移動しながら探っていく。

潮行きも沖への払い出しから、真北に流れる潮に変わっていく。

「上潮よりも、下潮が速いですね」

少し釣りづらい状況になりつつあるが、内田さんにアタリが来た。

上がってきたのは、ガンゾウヒラメ。

続けて、内田さんにアタリが来た。

ジギング用の強い竿が、大きく曲がっている。

「これは、強いですよ」

頑張って、魚の走りに耐えて、ラインを巻き上げていく。

海中に魚が見えた。

「鮫だ。鮫です」

海面に浮いて、タモを入れようか迷ったとき、針が折れた。

「鮫は、苦手ですね」

この鮫を機に、ポイントを移動する。

この移動が、厳しいドラマに繋がっていく。

「ベイトが居ますよ。やってください」

堀部さん、内田さん、中村さんが一斉に竿を出していく。

「来た!走る!走ります!」

中村さんにアタリが来た。

竿が海面に突き刺さるばかりに曲がって、ジッジッーとラインが出ていく。

その横で、内田さんもアタリを捕らえた。

ダブルヒットになった。

内田さんは、慎重に徐々に浮かしに掛かるが、中村さんの獲物は浮いてくる様子がない。

内田さんの獲物は、後少しで浮いてくるところまで来た。

「あっ…、針が外れた…」

中村さんの獲物は、沈み瀬に真っ直ぐに走り込み、動かなくなった。

船で向きを変えて、引いてみるがビクともしない。

力を入れて、引いたところでラインが切れた。

ラインが瀬に当たったようだ。

口惜しいけれど、逃げられた物は仕方ない。

気を取り直して、仕掛けを入れていくと、ウッカリカサゴやアヤメカサゴが連発。

しかし、締めのドラマが待っていた。

「船を戻します」

仕掛けを回収しようとした時、堀部さんの竿が、いきなり海面に突き刺さるように曲がった。

「来た!」

ドラッグ音が鳴り響き、獲物が真下に突っ走っている。

「頑張って、慌てないで頑張って!」

私たちは、応援する。

獲物が、何度も何度も真下に突っ走る。

バシッ…海面を叩く音がした。

「切られた…。叶わんかった…」

一方的に走られて、やられてしまった。

「口惜しいけど、今日はやられたけど、次は獲りましょう」

大物を取り逃がしたポイントを、後にした。