開進丸
2月13日 ボーズかも知れない…
天気予報で、桜島の風が10メートルを下回らない。
「明日も、風が強いかも知れません」
「久し振りに、行ってみたいですね」
「あのー、すいません。今の潮の状況は、良いとは言えません。ボーズかも知れません」
「それは、釣りには付き物ですよ。今日は、どうでした」
「鰺や、イトヨリ等でした」
前日に長代さんとそんな話をして、今日の出船。
海は、気嵐が立ち上がっている。
ポイントの潮は、緩い吐き出しの下り潮。
「潮の色がイマイチですね。でも、ベイトの反応は有りますよ」
やや強い北西の風を受けながら、鯛ラバで鯛を狙って竿を出す。
ホウボウがヒットしたが、後が続かない。
「なかなか厳しいですね。ポイントを変えましょう」
北東方向に船を走らせるが、北の風が強く吹いているのと、一隻の漁船が延縄を流しているのが気になった。
「こっちはダメですね。別のポイントに行きましょう」
船を南東方向に走らせる。
「ここは、どんなポイントなんですか」
「岩場と砂場の対比が8:2位ですかね。小さいけれど、古い魚礁も途中には有ります」
長代さんが鯛ラバで攻めていく。
「前回、此処に来たときは食い込みが悪かったけど、アタリは出ていました」
こんな説明をしていた時、長代さんにアタリが来た。
竿先をゴンゴンと叩くアタリだ。
「鯛みたいなアタリですね」
「重いですよ。ラインが時々出ていきます」
ゆっくりとラインを巻き上げていく。
上がってきたのは。3キロ弱の綺麗な真鯛。
「雌の綺麗な真鯛ですね」
「このコースを暫く流しましょう」
船を元に戻して、コースを変えて流していく。
魚探には、ベイトが浮いたり沈んだりして、時折映し出される。
「来た!なんか来ました」
竿先が、海面に突き刺さるように、曲がっている。
ドラッグ音が鳴り、ラインが出ていく。
獲物が、もの凄い走りを見せている。
「時間を掛けて、ゆっくり上げてください」
「んっ…、急にリールが巻けだした」
獲物が姿を見せた。
5キロクラスのニベだった。
「何だ…何かに噛まれている」
ニベの腹部に噛み傷がある。
鱗も至る所、剥げている。
「何かにやられてますね」
「さっきの走りは、何かから逃げたのですね」
「鮫ではないですね。アラかも知れませんね」
ニベの傷が、痛々しく感じる。
「今日は、諦めていましたが鯛が釣れて良かったです」
ヒット数は少なかったが、釣果は100%。
楽しい気持ちを持って帰港した。