開進丸
1月15日 来たね、獲ったね、やったね!
状況の変化に、時に驚いたり、時に悩んだり、時に喜んだりする。
今日は状況の変化に、喜んだ1日だった。
朝7時、やや強く吹いている北西風の海の状況を確認して、出港。
「栗原さん、小山田さん、風が吹いてきたらポイントを変えて頑張りましょう」
と、沖合60メートルのポイントを目指して、走る。
「この風は、北の風かな」
沖合に出るに従って、潟から吹いてくる風と、その影響で寄せてくる白波とウネリが気になる。
時折、左舷から白波が船首を洗っている。
やがて、ポイントに到着。
「ここは、特徴的な変化は余り無いです。しかし、ベイトはいます」
魚探を見ながらベイトの反応の説明をする。
潮は、北東にゆっくりと出ていく払い出しの上り潮。
潮の色も、青みが濃くて良い色をしている。
「風にながされると思います。揺れにも気を付けてくださいね」
栗原さんと、小山田さんが仕掛けを落としていく。
風の影響もあって、3度くらいの着底確認した後は、仕掛けを回収して落とし直していく。
「来た!なんか来た!」
小山田さんがアタリを捕らえた。
「どんな感じですか」
「結構ラインが出ますね。この感じ、青物かもしれません」
時折、ドラッグ音がなり、耳に心地よい音がする。
「見えた。ブリだ」
栗原さんが、魚を確認。
無事タモ入れしたのは、6キロの寒鰤。
「来たね。やったね。獲ったね」
私も、ブリが釣れるのを待っていただけに、思わず小山田さんと握手。
栗原さんも、笑顔で祝福している。
「この時を待っていました」
私は、嬉しくてたまらない!
小山田さんに続けてアタリが来た。
小さいけど真鯛だ。
鰤に真鯛、今日の出足は最高だ。
最高な状況の変化もやって来た。
「風が止んできた。波も落ちて静かになってきた」
嬉しい、喜ばしい状況の変化だ。
「栗原さん、小山田さん次のポイントに行ってみませんか」
「行きます」
「この潮で、風も止んで釣りが出来ると思います」
船を北東方向に向けて走らせる。
どんな釣果が待っているか、水深90メートルのポイントに入った。
潮は、0.6ノットくらいで北方向に流れている上り潮だ。
栗原さんにアタリが来た。
上がってきたのは、良型のガンゾウヒラメ。
「ホール中に当たってきた」
今度は、小山田さんにアタリが来た。
アカヤガラだ。
「美味しいよね。これは良いお土産が出来た」と笑顔。
潮がどんどんと、良い感じになっている。
又しても、小山田さんに強いアタリが来た。
竿が強烈に絞り込まれている。
「結構引くな。根魚の大きな奴やろうか」
強い引きを耐えて、ラインを回収すると丸々とした大きなアカヤガラが見えてきた。
しかし、ビックリしたのは、そのアカヤガラの下から追いかけてきている、茶色い色をした何か大きな物。
「何あれ…。なんだ…」
小山田さんも「なんかいる!何か吐き出した。」
茶色い色をした何かが、2メートルは有りそうなアカヤガラを追いかけて、海面近くまで来ている。
「泡が浮いてきた」「潜っていった」「なんか、正体がわからんかった」
アカヤガラは回収したが、その下にいた“何か”が分からなかった。
アカヤガラは、2メートルを超していた。
「なんか怖かったね」と小山田さんと話が続いた。
そんな中、栗原さんにアタリが来た。
慎重なやり取りで、上がってきたのは3キロ近いニベ。
「ニベだった。鯛かと思った」と笑顔だ。
船首に場所を移動した栗原さんに、強烈なアタリが来た。
「さっきの正体不明の大物かもしれないね」
小山田さんと二人で応援する。
ラインが引き出され、竿先が海面に突き刺さらんばかりに曲がっている。
それでも、すこしずつ獲物が上がってきた。
「ニベだ。大きい!」
上がってきたニベは、10キロの大型。
「でかいですね」小山田さんが、笑顔で言葉を掛けている。
「久し振りに10キロクラスのニベが上がりましたね」
釣れる魚も、段々と大きくなってきた。
小山田さんにアタリが来た。
最初のアタリが強烈に走っただけに「また、青物か」と期待したが、走りが止まりすんなりと上がってくる。
海面に姿を見せた魚を見て「おおっ、白甘鯛だ」
と、いっぺんに気持ちが高ぶってきた。
「これが釣りたかったです」と満面の笑顔。
高級魚の白甘鯛が釣れた喜びで、船上は笑顔が溢れる。
「今日は、楽しい釣りが出来ました」
栗原さん、小山田さんが笑顔で楽しそうだ。
「帰りますか」
「はい、お疲れさまでした」
帰りの船上は、何足の笑顔だった。