1月10日 さあ、行ってみようや

船着き場の朝は、北西の風がやや強かった。

「風は大丈夫ですかね」

「多分、昨日ほどではないと思うよ」

「風が強くなければ大丈夫ですね」

「さあ、行ってみようや」

従兄弟の信司を乗せて出船。

信司は、2日後には仕事で、暫く釣りが出来なくなる。

「今日は、頑張っどね」

「前回取り逃がした大物を取りたいですね」

「頑張れ、風が有るから少し揺れるけど、頑張れよ」

ポイントに着くと、北西の風がやや強く潟からの波で船が揺られる。

「良い色しているね」

「上り潮が沖に出ているね」

0.8ノットくらいで、北東方向に船が流れていく。

「おおっ、来た!」

嬉しそうな信司の声が響いた。

「楽しめよ。ゆっくりやれよ」

上がってきたのは、良型のオオモンハタ。

続けて、40センチ近い真鰺も来た。

「良い感じの出足になったね」

自然と笑顔になる。

「今日は、寒いのでハタ鍋にしようかな」

信司と一緒に竿を出していた私にも、アタリが来た。

良型のオオモンハタ。

「今日は、ハタが調子良いね」

魚探には海底から5メートルほど浮き上がって、ベイトの群れが映っている。

「来た。信司来たよ」

私のジグに、大当たりが来た。

ドラッグが鳴り、ラインが出ていく。

親指を添えて、ラインの出を押さえに掛かる。

「よっしゃ、止まった。行くぞ!」

気合いを入れて、腹に力を込めてラインを巻き取る。

相手が再度、強烈に走った。

「あっ!!」

20号のリーダーがスパッと切られた…。

「何やったろかい…。口惜しいな…。腹立つね…」

やりようのない気持ちだが、逃げられた物はしようがない。

リーダーを結び直す。

その間、信司に気持ちの良いアタリが来た。

時折、ドラッグが鳴りラインを引き出されている。

「ドラッグを緩めにしています」

上がってきたのは、1.5キロクラスのアオハタ。

「黄色いけどアオハタ」

チョットした、オヤジギャク。

「良い型やね。久し振りのアオハタやね」

この頃に一旦止んでいた北西の風が、強烈に吹き出した。

「風が急に強くなってきたね」

風を避けようと、色々移動を繰り返すが、結局巧く風を避けられるポイントが見つからない。

「今日は、帰ろうか。残念だけど…」

「3月に帰ってきたら、直ぐに連絡しろよ」

「はい、直ぐに連絡します」

「その頃は、真鯛にイサキ、ハタ等々頑張って釣ろうや」

「今日は、残念です」

口惜しい気持ちを次に持ち越して、帰港した。

「北西の強風にやられた。口惜しい!」