12月30日 今年の締めは、ニベ祭り

水平線に、朝日が顔を出してきた。

「今日もよろしくお願いします。今年もお世話になりました。ありがとうございました」

と、手を合わせ柏手を打つ。

今朝は海霧が立ちこめて、幻想的と言うよりも、寒くて手は防寒着のポケットに突っ込んだまま。

その寒さを打ち破るかのように、脇坂さんにアタリが来た。

最初の引きは、竿が綺麗な円弧を描く、気持ち良さだった。

時折強い抵抗を見せるが、あまりラインを引き出すことも無く、上がって来たのはニベ。

魚探には凄いベイトの影が、映し出されている。

そのベイトに、ニベが寄ってきているのだろうか。

脇坂さんに、又してもアタリが来た。

最初のニベと、同じ大きさのニベが上がって来た。

しかし、ここから急に潮が動かなくなってきた。

最初の内は上りが動いていたのだが、潮の動きが悪くなった事もあり、船が北東の風に押されるようになった。

潮自体は上り潮だが、風は北東の風と潮と風が逆方向になっている。

北東の風に押される船だが、流される速さは0.1~0.3ノットと殆ど流れない。

「仕掛けが真下に落ちていく」

塩田さんが、動かない潮に苦慮している。

ポイントを変えて、流していく。

塩田さんにアタリが来た。

イトヨリ鯛が上がってきた。

「正月用の赤い魚になるかな」

つぎのアタリも直ぐに来た。

海面に浮いたときは、一瞬真鯛に見えたが、チダイだった。

この後、海が再びアタリも遠のき、静かになった。

海面にはお日様の光がキラキラと反射して、見ている分には綺麗だ。

昼過ぎ、再度ポイントを移動する。

「ベイトが多い、最初のポイントに戻りましょう」

しかし、潮は動かず、アタリも出なく海は静かなまま。

北東からのウネリと風だけが、騒いでいる。

久し振りに、脇坂さんにアタリが来た。

「根掛かりかと思った」

竿先が海面に突き刺さるばかりに、強烈な引きを見せている。

「ニベだと思います」

予想通り、上がってきたのは7.1キロのニベ。

脇坂さんと塩田さんの足とニベの太さを比べる。

「同じような太さかな」と笑顔で太さ比べする。

脇坂さんにアタリが来た直ぐ後に、今度は塩田さんにアタリが来た。

重々しい、力強い引きだが「ニベですね」と、魚を予測。

海面に、そのニベが浮いてきた。

7.8キロの重いニベ。

塩田さんが、両手で力を入れて持ち上げている。

「今日は、今年の釣り納めだけど、ニベ祭りになりましたね」と笑顔。

「ニベ祭りですね」の声が聞こえたかのように、塩田さんに続けてアタリが来た。

笑顔で、私たちを見ている表情で、針に掛かっているのがニベだと分かる。

ちょっと小振りの、ニベが上がってきた。

立て続けにニベがヒットするが、狙いの真鯛や青物はヒットしてこない。

潮が動かない分、鯛や青物は「やる気スイッチ」が入らないようだ。

ニベの連発が一段落したところで、今年の釣り納めも無事終了。

「お疲れさまでした。鯛や青物は来年の釣り始めにとっておきましょう」

動かない塩に苦戦はしたが、最後は力強い引きを楽しめた。

「来年に向けて、また頑張りましょう」

平成28年の釣りを、笑顔で締めて帰港した。

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