ネイティブトラウトにおけるラインの役割とは?(渓流編)/上田 廉
ご挨拶

皆様、はじめまして。2026年2月より、サンラインの「ネイティブトラウト」部門にてテスターを務めさせていただくこととなりました、上田廉(うえだれん)と申します。
ネイティブトラウトにおけるPEラインの存在価値や活用方法を見出していく際に、世の中で発信されている当たり前に飛び交っている「当たり障りのないPEラインの説明」に深く疑問を抱くようになり、自身でPEラインにおけるネイティブトラウト攻略を深く考察してきました。釣り人それぞれの考え方があるため、正解や不正解が分かりませんが、現場でしっかりと魚に聞くことで、私なりのPEラインの考え方を見出してきました。
深く考えてきたからこそ見えてくることもあり、今回サンライン初のネイティブトラウト専用PEラインの開発を任されることとなりました。
PEラインの存在価値、付随するリーダーに関する考え方。
その部分を踏まえたネイティブトラウトに関する私なりの考察を今後のコラムにて深くお伝えしていければと考えております。よろしくお願いいたします。
自身の渓流スタイルに関して

私の渓流スタイルは特にこだわりはないのですが99%がミノーの釣りになります。
その場に応じてスプーンやバイブレーションを入れてみたりはしますが、よっぽどのことがない限りミノーのローテーションで釣りを組み立てることが多いです。
シンキングやフローティングにもこだわりはなく、その場の状況で判断する形です。
固定概念や世間のセオリーは排除してミノーを選択することを心がけています。
ソルト用やバス用、トラウト用など世間では区別されていますが、その辺りも排除して魚にとって何が必要かを考えてミノーも選ぶようにしています。
ネイティブトラウト(渓流域)におけるPEライン選択の意味
まず、PEラインを選択する根本的な理由はアクション伝達能力と、フックの貫通性能を上げれるという点です。
短い距離でのキャストにおいて、伸縮性がほとんどないPEラインは、アングラー側の意思をルアーに明確に伝えることができます。(ラインスラッグが出ている場合を除く)意図したタイミングでルアーにアクションを入力できるので、チェイスしてきた魚や、ピンに居座る魚に関して仕掛けていきやすいという部分は明確です。
伸縮性がないということは、フックを貫通させる部分に関しても長けていると考えられます。
魚をバラすほとんどの理由が、フックが貫通せずに針先だけが魚の口、あるいは口周辺の比較的硬い部分に乗っているだけの状態にあることによるものです。
しっかりとフックが貫通し、ゲイブまで入ることでほとんどの場合はバレません。
私はPEラインを使うようになり、世間では考えられないほど硬いロッドをカスタムして使用するようになり、魚のキャッチ率は格段に上がりました。
「ロッドが柔らかいからバレにくい」なんて言葉は、「鈎先が乗っただけのものをそのままキープできる」という諸刃の剣のようなものだと考えます。
それならばしっかりと貫通させて魚を手にする方が効率的であると私は考えます。
伸縮性のほとんどないPEラインが素早く「貫通」に移行できることは大きな武器であると考えられます。
ネイティブトラウト(渓流域)におけるPEライン選びの考え方
「渓流域(本流域は別)のヤマメ・アマゴ(イワナに関してはさほど深く考える必要がないため省略)」という部分に絞って考えていくと、キャスト位置とアングラーの距離が近いことが想像できます。
そのため「渓流域」に限っては私はシンキングミノーを多用します。
流れと同調させて効率よく魚をヘッドアップさせれる場合は、もちろんフローティングを使用しますが、基本はシンキングで魚のヘッドアップできるレンジまで落とすことを考え、釣りを行っております。

※渓流域での私の主要ミノー
そこで必要となってくる、「ミノーをロッドの入力によって前(PEライン上)に滑らせない」という考え方があります。
これは使用するミノーの特徴も加味して考えなければなりませんが、今回はPEラインに関してというテーマがあるためルアーに関しての詳細は割愛させていただきます。
では、「ミノーをロッドの入力によって前(ライン上)に滑らせない」とはどういうことかというと、「距離を詰めたいと考える魚」対してミノーに到達させたいという考え方です。
つまり水の中(流れの中)でのミノーの滑りを抑えるとバイトまで持ち込める魚がいるということです。
よく、足元まで首を振りながらチェイスする魚がいるかと思いますが、その魚は「喰いたいのに喰えない」という状態です。
ロッドによるアクション入力をミノーにしっかりと伝えることで、その「前滑り」を抑制していくことが求められます。
その際、最も大切になってくるものは「入力が素直に伝わるロッド」ですが、ラインに関してもとても大切になってきます。
ミノーをできるだけ流されることなく、アクション数を増やすためにはラインが水面に浮いていることが必須であると私は考えます。
理由は、2024年シーズンにサンラインの「オールマイト(シンキングPE)」をシーズン期間中使用したことで明確に学ぶことができました。
ラインが沈むことで魚からのチェイスは増えましたが、バイトまで誘導できた魚が極端に減りました。
ラインが沈むことで魚の目線には入りやすいためチェイスは増加します。
しかし、PEラインが沈むとアクションをかけた際にラインはアングラーとミノーを直線で繋ぐことになり、アクションが引っ張る方向に作用し、ミノーが前滑りを起こし、魚との距離を詰めれないという問題が生まれます。
チェイスが増えることで、「シンキングPEは良い」と錯覚しますが、実際にキャッチ数という「結果」を見た時に本末転倒なことが起きていると私は考えました。(高活性の魚にはシンキングPEが有効の場合があるが、その場合はどんなPEでもバイトは取れると考えられる。)
結果的に何が言いたいかというと、PEラインが水面に存在し、水面に張り付いた状態でアクションを掛ける方がミノーが効果的になるということです。(これにはリーダーが比重の高いフロロカーボンである条件が必須)
シンキングミノーを使用する際、ミノーが自重で沈もうとする力を水面にあるPEラインで上方向へと入力を変化させてあげます。
その際、ラインに引っ張られて前に滑ることなく「点」でアクションを入れることができます。
上方向のベクトルから、自重で落ちるという「点」でのアクションを多く入れることができるようになり、アクション数の増加が魚との間合いを詰めやすくしていると考えています。(ミノーの移動距離も極端に減少させることが可能)
詳細は図をご覧ください。

図のような現象を考えた時に、「ミノーが浮き上がらないのか?」という疑問が生まれるかと思いますが、それは販売されているミノーの特性により大きく変化します。
ミノーが入力した力をボディーで受けて水を噛み、アクションに反映させ、「点で止まろうとするか」ということも必要です。(リップで水を受けるものは浮き上がる傾向があります。)
滑る方向に作用するミノーに関してはどうやっても「点」で止めることが難しいため、ミノーを選ぶアングラーの技量も必要であると考えられます。
しっかりと自分自身のミノーに対する考え方を持って、たくさん経験していただくことをお勧めいたします。
ミノーに対する考え方が楽しくなってきた頃に、渓流でのPEラインの本当の意味が分かってくるはずです。
リーダー選びの考え方

渓流域における「リーダー」に関しては「フロロカーボン」一択であると私は考えます。(本流域ではナイロンやコンバックスを使用)
理由としては、表面硬度の硬さがあることによる「耐摩耗性」。そして比重「1.78」という重さです。
障害物の多い渓流域において、岩を超えたポイントにキャストする事など日常茶飯事。
その際、リーダーは常に岩に擦れます。「耐摩耗性」がなければリーダーを組み替える頻度、ルアーを結び変える頻度は大幅に上昇します。
ルアーが空中にある時間を減らさなければ、魚に出会う確率も大幅に下がります。
リーダー結んでいる時間、ルアーを結び変える時間は「無駄」以外の何でも無いですから。
ストレスなくルアーを水中に入れ続けることが渓流釣りにおいて最も大切なことです。
硬く強い「フロロカーボン」を選択することで、より多くキャストすることが可能になるので効率がいいと私は考えています。
キンクした場合のこともよく言われますが、伸ばせばそれでまっすぐになるので問題ありません。
そして「比重」に関して。PEは水面でいいのですがリーダーはしっかりと水中に入れたいと考えています。
リーダー自体が軽い場合、PEの軽さを悪い方向に作用させ、「優秀なミノーでも浮き上がる」という現象が起きます。
リーダーが重いことにより、ミノーの浮き上がりをリーダーで抑え込み、水面にあるPEの良さをプラスに作用させることが可能です。
ルアー付近の糸を水中にしっかり沈めることでPEの意味を感じることができるということになります。
シンキングミノーの沈むベクトルを邪魔しないことが大切で、上げたルアーが素直に落ちることで「点」でのアクションが可能になるということです。
欠点として考えられるかは疑問ですが、リーダーが重いことで通常よりもレンジが入ることがあるので、その部分は注意して運用することが大切です。
小型プラグが故に、リーダーの重さを素直に「影響」として受けてしまいます。
フローティングミノーを使用する際は、リーダーの長さでレンジが大幅に変化することがあるので、注意が必要です。
しかし、逆を言えば「レンジを変化させれる」ということになります。地味ですが、リーダーはルアーに最も近いライン。
考えて使っていくことで、釣りの幅が広がる重要なアイテムです。
ぜひ一度リーダーに関して考えてみてください。
最後に

これまでダラダラと文章を書いてきましたが、大切なことはアングラー個人が「ミノーや流れ」に関して特徴を理解して釣りができているのか?ということ。
ラインやリーダーが「専用」であったとしても、アングラーが「ミノーや流れ」を理解していなければ何の意味もないということ。
SNSの情報が正解とは限りません。SNSを鵜呑みにするのではなく、アングラーそれぞれが川と向き合って考えてほしいと思います。
SNS時代に何を信じるかは個人の自由です。しかし、ラインに関して深く理解できていないメディアプロも多く存在します。
私はネイティブトラウト専用PEラインを開発するにあたり、一切妥協するつもりありません。
今後もフィールドで学び、その経験を製品開発に注ぎ込みたいと考えております。もちろん浅い見解ではなく深い見解で臨んでいきます。
「売るためのライン」ではなく「釣るためのライン」をユーザー様と共有できる日を目指して、今後も水辺に立ちたいと思います。
今後のサンライン「ネイティブトラウト専用PEライン」の進捗にご注目ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。












