開進丸
12月22日ハタが来た
午前中は、北寄りの風が吹いていた。
少々は、波立つこともあったが、苦になる感じではない。
潮は、下り潮がゆっくりと流れている。
「下潮も動いていると良いのだが」
風が止むと、ポカポカと暖かく感じて、居眠りしたくなる。
今日も、瀬から離れたところに、ベイト反応が出ている。
中嶋さんが、今日最初のアタリを捕らえた。
ウッカリカサゴが、上がってきた。
小さなベイト反応と、仕掛けが合うとアタリが来る。
良型の鯵が、ヒットして来る。
「鯵がヒットしてくるのは、嬉しいですね」
鯵の釣果に、中嶋さんも嬉しそうだ。
早永さんが、強いアタリを捕らえた。
最初の走りで、ラインが可成り引き出された。
「真鯛かな」
思わず、狙いの魚を想像する。
上がってきたのは、ニベだった。
「竿を叩く感じが有ったときは、一瞬、真鯛を期待しましたね」
チョット残念そうな、感じだ。
鯵や鯖のアタリは、ポツポツと続いた。
瀬から離れたところに出ているベイト反応の正体は、鯵や鯖のようだ。
2~3度の流しで、ポイントを移動していく。
早永さんに、強いアタリが来た。
「瀬掛かりしたのかと思いました」
重量感タップリの、重々しい引きに耐えながら、ゆっくりと巻き上げる。
有る程度上がってきた処で、少し抵抗し始めた。
「竿が時々、押さえられますね」
やり取りを楽しんでいると、獲物が見えてきた。
「ハタですね」
体に現れている斑文から、カケハシハタのようだ。
最大で、70センチ位の大きさになるハタだ。
「初めて釣りました」と、笑顔満開の早永さん。
3.1キロの重量が、嬉しそうだ。
良いことは、続けてやってきた。
早永さんが、強いアタリを続けて捕らえた。
「どんな感じですか」
「さっきと同じで、重たいですね」
巻き上げるラインの先に、獲物が見えてきた。
「マハタですね」
アヤメカサゴも、一緒に掛かっている。
嬉しい釣果が続いた。
「やったね。良いマハタが来たね」
「嬉しいですね」と、笑顔が輝く。
船首で、中嶋さんがアタリを捕らえている。
「来ました。ハタだと嬉しいのですが」
海中で、獲物が白く光った。
上がってきたのは、ニベだった。
風が、西になったり、南寄りになったりと、クルクル回り始めた。
船が流れるコースが一定しなくなった。
スタート地点だけは、ベイト反応の有るところから流したい。
船の位置取りを決めて、流していく。
「来ました」
中嶋さんに、アタリが来た。
今度の獲物は、何だろう。
「見えた。ハタです」
マハタが、上がってきた。
「此が、釣りたかったです」と、笑顔の中嶋さん。
早永さんにもマハタがヒット。
「嬉しいですね。こんな事は、もう無いかも知れませんね」と、話も弾む。
風が止んだ午後から、ハタのアタリが続いた。
「上がりましょうか」
クーラーの重さが、心地よかった。