開進丸
12月19日真鯵の群れ
夜明け前の海は、風が穏やかだった。
天気予報では、北西の風が強く吹く予報になっていたのだが、予報が外れた。
「これは、チャンスですね」
新しいポイントを攻めたいと思い、船を走らせる。
走っている途中に、ベイト反応が出てきた。
「この辺りは、ベイトが集まっていますね」
海底はフラットで、何の変化も無いと言っていい場所。
少しだけ、窪みが見られる場所に、ベイト反応が出ている。
「ここで、少しやってみますか」
岩本さん、山下さん、荻窪さんに、竿出しを勧める。
海底から、15メートルくらいの範囲に出ているベイトの正体が知りたい。
最初にヒットしてきたのは、沖カマス。
そのカマスの下から、何かが追い掛けてきている。
茶色く見える姿だが、海面近くに上がることなく、海底に帰っていった。
岩本さんにも、強いアタリが来た。
真下に突っ込むようなアタリが来て、竿先が真下に突っ込んでいる。
「良い感じですね」
ゆっくりと巻き上げに掛かるが、竿先が元に戻った。
仕掛けを回収すると、針が切られていた。
船首で、山下さんがアタリを捕らえた。
良型の真鯵が、上がってきた。
「ベイトの正体は、真鯵みたいですね」
35センチクラスの真鯵が、集まっているのだろう。
岩本さん、荻窪さんにも、アジのアタリが来る。
しかし、アジが大きいからか、激しく抵抗して途中で針が外れる。
山下さんに、アジとは違うアタリが来た。
タチウオが、ヒットしてきた。
指3本強のタチウオが、アジの群に寄っているのだろうか。
連続して、ヒットしてくる。
真鯵のアタリは、続いている。
山下さん、荻窪さん、岩本さんと、誰かの竿にアジのアタリが来る。
魚探に、大きな反応が出てきた。
三人同時に、竿が曲がった。
「ホール中にアタリが来ました」
「もしかしたら、鯖の群も知れませんね」
上がってきたのは、中型の鯖。
このクラスが、可成りの群れで集まっている様子。
仕掛けが途中で、止まってしまう。
船の流すコースを、少し変えてみる。
流すコースを少々変えても、ベイト反応は出てくる。
ゴツゴツとヒットしてくるのは、良型の真鯵。
岩本さん、山下さんが、順調にアジのアタリを捕らえている。
時折ヒットしてくる鯖の型も、指が回らないくらいの大きさになってきた。
岩本さんに、アジとは違うアタリが来た。
「何か小さい物が来たみたいですね」
巻き上げる途中で、竿先が大きく突っ込んだ。
「何…今のアタリは何だろう」
上がってきたのは、タチウオだったが…。
半分近くが、何かに喰われている。
「共食いしたのかな」
タチウオは共食いするだけに、大きなのが居るのかも知れない。
連発してくる真鯵のアタリに、時間経過が早い。
北寄りの風が止むと、流れが緩くなってくる。
アジのアタリも、連発からポツポツになってきた。
岩本さんに、荻窪さんにアタリが来た。
流す場所を変えても、アジのアタリが続いた。
アジの群に青物が付いていないかと思ったが、付いていたのはタチウオだった。
しかし、久し振りの真鯵の連発。
良型のアジの連発だけに、嬉しかったし、楽しめた。
海中のベイトの様子も、少しずつ変わり始めているのかも。
楽しみが出てきた気がする。