12月18日追い掛けた
朝は、北西の風が強かった。

潟からのウネリが寄せて、白波も立っていた。

「暫く、島影で様子を見ましょう」

大島の近くに寄って、風が落ちるのを待つ事にした。

昨日と違って、大島近くの浅場に、目立ったベイト反応が無い。

瀬周りに出ているベイト反応を探ってみるが、アタリは出ない。

風が落ち始めたタイミングで、少しずつポイントを移動する。

移動したポイントにも、目立つ反応は少ない。

1カ所だけ、浮いたベイト反応が出ていた。

「来た」

Zさんに、走りが強烈なアタリが来た。

見ている側からすると「青物が来た」と、思ってしまったアタリだった。

走られた分を、船で差を詰める。

「見えてきました」

60センチを超す、3キロ近い良型の真鯛。

「ノッコミみたいな体の色をしていますね」

少々の黒ずみが、体色に現れている。

神経締めすると、その体色も綺麗になった様に感じる。

「まずまずのスタートになったかな」

そう思ったが、後が続かない。

「下潮が、動いていないですね」

「ジグに、抵抗感が無いですね」

上と下で、潮の動きが違っているようだ。

ポイントを移動する。

すると、Zさんに大アタリが来た。

もの凄い勢いで、ラインが出ていく。

鯛ラバに切り替えたばかりなので、無理は出来ない。

ここから、船で追走劇が始まる。

獲物が少しずつ、沖に出ていく。

海底から、30メートルくらいまでは浮かすことが出来るのだが、それから上には上がってこない。

私の従兄弟の信司に、獲物が走る方向を指し示して貰う。

なかなか、浮いてこない。

何度も、強烈な走りに耐えていたが、古い魚礁の有るところで瀬に逃げ込まれた様子。

「切られた…」

時間にして、30分近くの追走劇に、終止符が打たれた。

「口惜しいな…」

Zさんの気持ちが、痛いほど伝わってくる。

気持ちを切り替えて、釣りを再開する。

黒木さんにアタリが来た。

オキアジが上がってきた。

信司にも、オキアジがヒットしてきた。

やはり、下潮の動きが良くないのだろう。

この時に、一隻の船が私の行く先々に、付いてくるのに気付いた。

クルーザータイプの、やや大型の船だ。

私が流す方向に、船を回している。

人が流しているポイントを、探っているのがハッキリと分かる。

船に乗っている釣り人の顔が、見えるくらいの距離だった。

何事にも、マナーと言う物があると思うのだが…。

「不愉快な船ですね。移動しましょう」

可成り離れれば付いてこないだろうと、大きく移動する。

古い小さな魚礁の有るところに、船を進める。

魚探を見ていると、海底から10メートルの間に、ベイトが浮いている。

「ベイトが浮いていますよ」

ベイトの様子を知らせる。

アタリが、連続して出始めた。

魚探に出ているのは、レンコダイの群れのようだ。

一流しに、途切れることなく、アタリが出てくる。

良型のレンコダイが多い。

狙いの希望としては、真鯛が欲しいのだが…。

連続するアタリの中に、時折、強いアタリが来る。

鯛ラバの針が、折られている。

軸の太い針が折れる強いアタリの正体は、何だったのか。

その後も、レンコダイのアタリは続いた。

サワラだろうと思うのだが、リーダーをスパッと切っていく奴もいた。

レンコダイの群れに当たり、連発したアタリを楽しむことが出来た。

狙いの真鯛は、思うように出なかった。

他の仲間に連絡すると「潮が動かない」と、言っていた。

北に行っている仲間も、南に行っている仲間も、同じ事を言っている。

「釣りは、潮が全て」

このことを改めて、感じた一日だった。

#九州 #宮崎 #マダイ #タイラバ #鯛ラバ #テンヤ