開進丸
12月10日ニベ祭り
今日の海は、昨日の時化が嘘のように、凪になった。
朝の内には北西の風が吹いていたが、午前9時過ぎにはその風も治まってきた。
久し振りの凪に、これまで、入れなかったポイントを攻めてみる事にした。
上野さん、横山さん、そして、私の従兄弟の信司の3人で、ポイントを移動して行く。
釣りも、腕に覚えの「タンカートリオ」の頑張りに、期待が高鳴る。
移動してみたポイントのベイト反応は、それぞれが、良い感じだった。
良いところでは、海底から30メートル位のベイト柱が、確認できた。
しかし、下潮の動きが「潮が抜けますね」と、動きが感じられない様子。
「潮が抜ける」処も、海底付近だったり、10数メートル上だったりと、位置が変化している。
「ここは、潮の抵抗感が感じられる」と、潮が活きたところでは、アタリが来た。
そのアタリを最初に捕らえたのが、上野さん。
「そんなに引かないかな」
ゆっくりと巻き上げると、やがて、ニベの姿が見えてきた。
「まずまずのニベかな」
最初のアタリで、針が折れたのが横山さん。
「青物だったような気がするな…」
海底付近を丁寧に探って捕らえたアタリだけに、口惜しい。
私の従兄弟の信司にも、アタリが来た。
その海底付近を「ネチネチと探ってみました」と、言っていた。
ジグを余り巻き上げない、潮が活きていると思われる範囲にジグを置いていく。
獲物はニベだが、自分の思い通りの攻め方が、釣果に繋がった。
ベイト反応が、中層にも出てきた。
「ゴマを散らしたようになっています」
その変化を、3人に知らせる。
「何か来た。巻き上げ途中でヒットしてきた」
上野さんが、何かのアタリを捕らえた。
勢いよく走り回っている。
上がってきたのは、ヨコワだった。
放流しようにも、針を飲み込んでいて、血だらけになってしまった。
一つのポイントを、3~4流しずつで移動していく。
移動して最初の流しに、アタリが多い。
信司にアタリが来た。
このアタリも、ニベだった。
「今日は、ニベ祭りかな」と、船内に笑いが起きる。
船首で、横山さんがアタリを捕らえた。
「余り引かないですね」
「外れたかも…」
そう言いながら、巻き上げる。
ウッカリカサゴの、老成魚が上がってきた。
「刺身が美味しいよ」
食べる話に、話題が広がる。
信司に、又してもアタリが来た。
半袖姿になっているが、風が止むと日差しが暖かくなってくる。
防寒着が、暑くなってくる。
「夏と間違われないかな」と、本人も、上野さん、横山さんも笑っている。
このアタリも、ニベだった。
今回は、ホール中のアタリも結構な数有ったのだが、掛かりが浅いようで、外れてしまう。
「何か、触ってくるちゃけどな」と、上野さん。
「あっ、また外れた」と、横山さん。
中層付近に、何かがバイトしてくる様子。
もしかしたら、海面で跳ねていたヨコワかも知れないし、途中で姿を見せたシーラかも知れない。
横山さんに、強いアタリが来た。
真下に突っ込んでいる。
真鯛みたいに、竿先を叩くアタリ。
「おっ、真鯛が来たか」
期待を込めて、獲物が浮いてくるのを待つ。
浮いてきたのは、良型のニベだった。
真鯛みたいなアタリをするニベ。
「ニベを初めて釣りました」と、笑顔で話していた。
ポイントを移動すると、又しても、横山さんにアタリが来た。
「最初に、随分走りました」
走りの鋭さに、色々と想像する。
獲物が見えるまでの期待感は、楽しい物がある。
上がってきたのは、ニベだった。
「やっぱり、ニベ祭りかな」
船内に、笑い声が響き渡る。
釣って笑顔、外れて大笑い、タンカーの仕事が共通しているだけに、話題も豊富。
その分、船上が賑やかになる。
愉快な「タンカートリオ」の楽しい一日は、ニベ祭りで笑顔の中、納竿した。