開進丸
11月24日風とウネリ
天気予報では、波は1メートルに落ちる筈だった。
実際は、北東の風が強く吹いて、ウネリが高く成っていた。
「これでは、沖には出られませんね」
船首を、内場に向けた。
早朝から吹いている北東の風に煽られて、ウネリが一段と高くなっている。
沖に向かうのは厳しい状況だが、行けるところまでは行ってみたい。
水島の、南側に船を進めてみた。
ウネリが高く、船が大きく揺さぶられる。
「沖に白波が立ち始めるまで、流してみます」
風が強い割には、船が流される速さが、そんなに速い気がしない。
1ノット前後で、南に流されていく。
下り潮と言うより、北東の風に押されて南西に流されていく。
高妻さん、早永さん、湯浅さんが、船の揺れにバランスを取りながら、竿を出していく。
ベイト反応は、柱状になっている。
「良い感じで、反応が出ています」
湯浅さんに、強いアタリが来た。
柔らかめの竿が、海面に突き刺さるように、弧を描いている。
「その竿は、曲がりますね」
「楽しいですよ」
どちらかと言うと、私も柔らかめの竿が好きな方だ。
獲物が見えてきた。
「GTですね」
船に上げて、改めて獲物を確認。
ロウニンアジは体高が有って、引きが強い楽しい魚だ。
この釣果の後が、続かない。
沖に白波が立ち始め、ウネリの様子も変わってきた。
「ここには、居られませんね。移動します」
内場に戻ることにした。
「カンパチが出るかも知れないので、瀬周りを流します」
沈み瀬の掛け上がりを中心に、流していく。
時折、魚探にベイト柱が出てくる。
「何かが居るかも知れませんね」
そう思ってみていたら、湯浅さんにアタリが来た。
何度も、獲物が真下に突っ込む。
ドラグ音が鳴って、ラインが出ていく。
「カンパチみたいですね」
「多分、そうだと思います」
2キロクラスのカンパチが、上がってきた。
求めていた、カンパチが上がった事に、安堵感を覚える。
「まだ居るはず」
しかし、後が続かない。
「潮が動いていないのかも知れませんね」
高妻さんも、潮の動きが気になっている様子だ。
風の勢いで船が流されるが、潮自体は、そんなに動いていないようだ。
少しずつポイントを変えて、アタリを求めるが、なかなか思うようにいかない。
浅場で、湯浅さんにアカハタが来た。
高妻さん、早永んにもバイトがあるのだが、食い込まない。
沖に出られないまま、このアカハタを今日の締めとした。