開進丸
11月23日風に負けずに
北西の風が、強かった。
岸方向からの白波が、波長の短い風ウネリと一緒に、寄せてくる。
釣り難い状況だけど、ここは、我慢の釣りと自分に言い聞かせる。
朝の一投目。
黒木さんに、いきなりのアタリが来た。
ドラグ調整中のアタリに、黒木さんもビックリ。
ゆっくりと、巻き上げていく。
2キロクラスのニベが、上がってきた。
魚探には、良い感じのベイト反応が出ている。
「良い感じのベイトですよ」
魚探の状況を、知らせる。
しかし、その反応に反して、なかなかアタリが出てこない。
海面で、何かが跳ねた。
「シーラが居る」と、塩田さんが確認。
仕掛けを巻き上げ途中に、ヒットしてきた。
海面で、何度もジャンプする。
まずまずのシイラが、上がってきた。
海水温が、まだ高い状態が続いているようだ。
しかし、この頃から、北西の風が強さを増して、釣り辛い状況になってきた。
少しでも風の影響を少なくしたいと、浅場に移動する。
塩田さんに、アタリが来た。
小さいが、真鯛がヒットしてきた。
風の様子を見ながら、移動した先では黒木さんにアタリ。
アヤメカサゴが、ヒットしてきた。
この頃になって、風が弱くなって来た。
風の向きも、北西から真東に変わってきた。
少し深場に移動するか迷ったが、小さな魚礁周りのベイトを攻めてみる。
ジギングで探っていた黒木さんに、アタリが来た。
竿が激しく叩かれるアタリ。
船首では、塩田さんもアタリを捕らえている。
ドラッグ音が鳴り、ラインが何度も引き出される。
「大きいですよ。ゆっくりやりますよ」
同時ヒットに、何が上がってくるか楽しみだ。
「見えました」と、黒木さん。
沖合の魚礁周りに、オジサンが着いていた。
塩田さんの、獲物も姿が見えてきた。
「真鯛ですよ」
その大きな魚体が、海面に浮かび上がった。
72センチ、3.5キロの真鯛。
重量感タップリの、綺麗な真鯛だ。
この直後に、一段と強いアタリが、塩田さんに来た。
いきなり、激しくラインが引き出されたが…。
上手く、針掛かりしなかったようだ。
「続けてきたのに、残念です」
「口惜しいですけど、次に釣り上げましょう」
嬉しさと、悔しさを持って帰港した。