開進丸
11月19日南西の風
夜明け前、不安定な天気に、やや強い南よりの風が、吹いている。
ドンヨリとした曇り空から、雨が降っていた。
「嫌な天気ですね」
「予報が当てになりませんね」
東原さん、赤木さん親子との、出船前の挨拶。
「南よりの風が嫌ですね」
不安は消えないが、まずは、港内のタチウオからと船着き場を離れた。
タチウオポイントには、4隻の船が来ていた。
大磯先輩の船も、来ている。
南西の風に乗せて、船を流していくがアタリが来ない。
2~3度ほど流してみるが、アタリが来ない。
「移動してみますか」
南西の風は覚悟で、内場に船首を向けた。
大島の小浜の港前に来ると、内場からのウネリが寄せていた。
「此処で、こんだけのウネリが立てば、内場はバタバタしますね」
「厳しいですか」
「厳しいですね。引き返しましょう」
タチウオポイントに、再び引き返す。
「ここで2~3度流して、当たらなければ、帰りましょう」
「そうですね」
半分、諦めモードで船を流していく。
南西の風が強くて、船の流れが速い。
有る程度流れた処で、赤木(息子)さんにアタリが来た。
「何か来ました」
諦め掛けていたタチウオが、ヒットしてきた。
「もしかしたら、まだ、ヒットするかも」
東原さんにも、アタリが来ている。
カマスが、上がってきた。
船尾で、赤木(父)さんにアタリが来た。
「タチウオが、来ました」
アタリが繋がる、船内のムードが一新。
皆さんに、笑顔が戻ってきた。
赤木(父)さんに、続けてアタリが来た。
上がってきたタチウオは、銀白色の体色が綺麗だ。
ここから、暫くは東原さん、赤木さん親子にアタリが繋がる。
針外れも時折あるが、良い感じでアタリが続く。
しかし、益々、南西の風が強くなってきた。
港内で、白波が立ち始めた。
大磯先輩は「先に帰るよ」と、連絡が来た。
満潮の潮止まり過ぎまで、頑張ってみた。
「潮の動き出しにアタリが出るかも」
赤木(父)さんに、アタリが来た。
良い感じで、竿が曲がっている。
姿を見せたのは「ニベですね」
2キロクラスのニベが、上がって来た。
その後は、南西の風が強くなった影響か、アタリが出なくなった。
「引き上げましょうか」
東原さんの、合図で納竿とした。