開進丸
10月24日ダブルにトリプル
2週間振りの海は、上り潮が通していた。
青味があって、気持ちがスッキリする様な、綺麗な潮になっていた。
時化て船が出せない間、道路から見ていた青い潮は、この上り潮だったようだ。
「今日は、良いかも…しれない」
膨らんでくる期待感に、気持ちがソワソワする。
気になっていたベイト反応も、良い感じで蛇行して居る。
黒木さんに、いきなりガツンと、強いアタリが来た。
竿先が、海面に突き刺さるように、弧を描いている。
「ハガツオですよ」
その引き具合から、塩田さんが判断してアドバイス。
魚が見えてきた。
「ハガツオとヤイトガツオが、ダブルだ」
引きの強い魚のダブルヒットで、今日の釣りはスタートした。
塩田さんにも、アタリが来ている。
良い感じの曲がりだ。
良型の真鯵が、ヒットしてきた。
35センチ超の真鯵が、連続してヒットしてくる。
アタリが来ては外れるが、直ぐに次のアタリが来る。
鯵が大きいのだが、針掛かりは皮一枚と言ったハラハラドキドキが続く。
黒木さんにも、良型の真鯵がヒットしてくる。
ベイト反応も、海底から15メートルくらいの幅がある。
柱になっていたり、固まりになっていたりと、反応が色々と変わっていく。
アタリの正体は、真鯵と分かっているのだが、鯵自体の大きさが災いするのか、針外れも可成りある。
それでも、真鯵のアタリ連発が続いた。
大きなイトヒキアジも、ヒットしてきた。
そんな中、気になっていたのは風の変化。
天気予報では、9時頃には北西の風が強くなってくると、なっている。
「他のポイントに移動します」
風が吹き出す前に、何カ所かのポイントを攻めてみたい。
沖目のポイントに移動。
直ぐに仕掛けを落としていく。
すると、船首の方で「来た」と塩田さんの声がした。
仕掛けを入れて、直ぐに何かがヒットした。
「シーラが寄っている」
見ると、海面にシーラが群れて姿を見せていた。
そのシーラが、塩田さんの仕掛けにヒットしてきた。
「シーラのトリプルヒットだ」
船内に笑い声が湧き上がった。
次に移動したポイントでも、良い感じのベイト反応が出ている。
古い魚礁が崩れているポイントで、その岩が広い範囲に転がっている様に魚探に映る。
塩田さんに強いアタリが来た。
「真鯛かな、ニベの様にも感じるな」
その引きを楽しみながら、ラインを巻き上げ行く。
「見えてきました。ニベですね」
4キロクラスのニベが、上がってきた。
このニベがヒットして「今から、チャンスが来るかな」と、思った頃から真西の風が強く吹き始めた。
「余り長くはやれないかも…」
船を戻して、2度目の流しに入る。
直ぐに、塩田さんにアタリが来た。
竿先を叩く強いアタリ。
「今度は、真鯛ですね」
その引き具合から、真鯛だと判断。
やがて姿が見えてきた。
2キロ弱の、綺麗な真鯛が上がってきた。
「良かった、真鯛が釣れて嬉しいですね」
塩田さんの笑顔に「よっしゃ、まだ行けるかも」と、思ったが…。
西風が強さを増して、岸からの白波が立ち始めた。
ウネリも、段々高くなってきた。
「此処までですかね。引き上げましょうか」
西風が一段と強くなる前に、帰港した。