開進丸
10月2日大苦戦
今日の海は、厳しかった。
朝間詰めには、ベイト反応が沢山出ていた。
「ベイト柱がありますよ。やりましょう」
横山さんも、私も朝は元気だった。
ベイト反応に仕掛けが入ると、直ぐにアタリが出た。
「多分、鯵が来ました」
横山さんの竿に、頻繁にアタリが来ている。
良型の真鯵が、続けてヒットしてくる。
「青物も寄っているかも知れない」
そんな気持ちに、させてくれる。
小さいが、サゴシもヒットしてきた。
ところが、暫くすると急にベイト反応が出なくなってきた。
「あれ、反応が出なくなったぞ」
不安な気持ちになっていく。
それでも、時折、鯖がヒットしたりはしていた。
しかし、午前9時を過ぎる頃には、全くアタリが出なくなった。
「おかしい…」
急に、海中の様子が変わった。
「下潮が、抜ける気がします。動いていないみたいです」
ジグが抜けるような、軽い感覚が有るとの話。
横山さんが、下潮の変化を教えてくれる。
潮の色を見ると、菜っ葉色になっている。
「水温が下がったかな…」
ポイントを移動しながら、ベイト反応が出ている処を探すが、なかなか見つからない。
何カ所か移動したところで、横山さんにアタリが来た。
「久し振りのアタリが来た」
慎重に、ラインを巻き上げていく。
上がってきたのは、タチウオだった。
指4本クラスの、良型だ。
此処で水温を測ってみた。
「24度になっている」
これまでは、26度で推移していた。
2度も、下がったことになる。
ポイントを移動して、横山さんが色々探るが、アタリが来ない。
「海の神様に嫌われたかな…」
こんな会話になるくらいの大苦戦だ。
ロックフィッシュをやっても、アタリが出ない。
ジグをしゃくっても、アタリが出ない。
「おっ来た」
と、思ったら大きなエソ。
「エソも久し振りな気がする」
ベイト反応が消えたのを承知で、横山さんがジグをシャクリ続ける。
その粘り腰は、凄い気迫を感じるのだが…。
納竿時間を過ぎるまで「何とかアタリを捕らえたい」と、横山さんには頑張って頂いた。
しかし、海の女神は朝間詰め以降は、微笑まなかった。