開進丸
8月28日時化後の海
海の色は、菜っぱ色していた。
雨で川からの泥濁りが入っているのかと思っていたが、泥濁りではなかった。
下り潮で、潮色が菜っぱ色。
水温が低下しているのではないかと、危惧された。
案の定「何か触るけど、針に乗らない」「一瞬、引っ張るけど直ぐに外れる」と、活性が下がっている様子だった。
横山さんも「ラインが走るけど、掛からんな」
梅垣さんも「アタルけどな…。渋いな…」
と、釣り開始当初から、苦戦の様相を呈している。
横山さん、梅垣さん共に、最初のヒットはカサゴだった。
ベイト反応を探して移動を繰り返すが、なかなか良いアタリにが出ない。
思い切って、瀬も何も無いけど、ベイト反応が見られる海域に移動する。
魚探に、濃くは無いが、ベイト柱が出てきた。
潮自体は、余り良い感じの動きでは無い。
「仕掛けは、真下に入っていますね」
「下潮が余り動いてないですね」
この言葉に「どうしたらいいだろうか」と、考え込んでしまった。
船首で、竿を出している横山さんの声がした。
「何か来ました。船の真下に入っています」
やり取りの態勢を、釣り人有利にするために、船の向きを少しずつ変えていく。
「少しずつ、浮いてきました」
ドラグ調整が、ゆるゆるにしてあるとの事で、巻き上げはゆっくりとしている。
「見えてきました。真鯛です」
60センチ、2.3キロの真鯛が上がってきた。
「良かった、今日はどうなるかと思ったよ」と、真鯛の釣果に一安心。
梅垣さんにも、アタリが来ている。
「さっきのアタリが外れただけに、少し慎重に上げます」
上がってきたのは、良型の真鯵。
似たような型の鯵が、続けてヒットしてきた。
「魚探に出ている反応は、真鯵ですね」
真鯵の姿を見て、少し元気が出る。
梅垣さんに、強いアタリが来た。
「引きますか」と、尋ねる。
「良い引きをしていますね」と、返事が返ってくる。
上がってきたのは、良型のニベだった。
色々なアタリが出てきたことに、気持ちがホッとしてきた。
次のアタリを探していると「シーラが居る」と、声がした。
見ると、船の周りに1メートルクラスのシーラの姿が確認できる。
仕掛けを巻き上げ途中の、横山さんの仕掛けに食い付いた。
「走ります」
横山さんの表情が、楽しそうだ。
船に近づくと、船の下に入り出てこない。
ゆっくりと、時間を掛けて引きずり出す。
海面に浮いたところを、一気にタモに入れる。
102センチ、5キロの雌のシーラが上がってきた。
「疲れた」と、横山さん。
「お見事」と、祝福する梅垣さん。
船上が、賑やかになった。
シーラが上がって、直ぐに竿を出した梅垣さんにアタリが来た。
アヤメカサゴが、上がってきた。
出足に潮色が悪く、アタリを捕らえきれなかった。
大苦戦を覚悟で、粘りの釣りを展開。
真鯛、ニベ、シーラ、真鯵等々のアタリを捕らえる事が出来た。
ホッとした気持ちで、納竿とした。