開進丸
７月１２日お久しブリ
「今年の初ブリ？」
「おひさしブリかな」
２ノット以上で流れていた下り潮が、少し緩み始めた時に、ヒットしてきたブリ。
丸々と太っていただけに「虫は少ない気がする」
早朝の潮は、正に激流だった。
ドテラ流しでは、なかなか着底が取れない。
当然、アタリは出ない。
「船をたてて、少し押しますね」
下りの激流に向かって押していき、仕掛けを兎に角、バーチカルな状態にしたい。
風も、天気予報では南西の風になっていたが、実際は北風がやや強く吹いてる。
南からのウネリと、喧嘩する感じになっている。
釣りの条件としては、良い条件とは言い難い。
ベイト反応の中に、少しでも長く仕掛けを入れていきたい。
ベイト反応と上手くマッチすれば、何とかアタリが出る。
栗原さんに来たアタリは、正にその状態の中で当たってきた。
しかし、喰いが浅いのか、針外れが起きる。
最初の釣果は、釣り始めて１時間以上経過してから。
栗原さんに、アタリが来た。
慎重に、巻き上げていく。
イサキが上がってきた。
「一匹目が上がると、ホッとしますね」
どうにか、笑顔が戻ってきた。
船首で頑張っている、広峯さんにもアタリが来た。
時折、ドラッグ音が鳴る。
「ドラッグを、ゆるゆるに調整しています」と、ゆっくり巻き上げる。
姿を見せたのは、５１センチの真鯛。
「やっぱり、一匹釣れると気が楽になる」と、笑顔が輝く。
釣り始めてから３時間が過ぎる頃に、どうにか潮の流れが落ち着き始めた。
「流れが緩くなり始めています」
２ノット以上で流れていた潮が、１．５ノット前後に落ち始めた。
潮が変化し始めた時に、栗原さんにアタリが来た。
思わず、アタリと同時に「おっ」と、声が出る。
ドラッグ音が、気持ち良く鳴り響く。
船の下に入り込んで、なかなか前に出てこない。
竿先を海中に突っ込んで、やり取りをする。
漸く、姿が見えてきた。
「ブリです」
８３センチ、６キロの綺麗なブリ。
「やったね」
栗原さんと、ガッチリと祝福の握手。
「今年初ブリかな」
「おひさしブリです」
駄洒落も入り、会話が楽しく弾む。
広峯さんにもアタリが来て、カサゴが上がってきた。
潮が緩んでくると、良型の鯵、鯖も当たり出した。
瀬周りでは、広峯さんにアカハタが、ヒットしてきた。
近くで流していた、船仲間の関屋さんにも、２キロ位の真鯛が上がっていた。
納竿前になると、潮が完全に緩んできた。
潮の動きに併せるように、アタリも出なくなってきた。
朝の激流、納竿前の緩い潮行き。
潮の流れに翻弄された感じの、一日だった。
