開進丸
4月19日波高し、真東の風
ウネリの方向が、昨日からすると変わっていた。
北東から、高いウネリが押し寄せてくる。
昼前からは、北東の風も強くなる予報。
「朝間詰めにアタルと嬉しいですね」
そんな世間話をしながら、船を走らせていた。
走っている途中で、ベイト反応が出てくることも期待している。
そのベイト反応が、出てきた。
直ぐに船を止めて、竿を出す。
アタリは来るが、エソのアタリも多い。
「エソの動きが良いときは、他の魚も元気が良い筈」
そう信じて、仕掛けを入れていく。
田中さんに、アタリが来た。
真下に、突っ込みを見せる。
海面近くに上がってくると、横走りする。
「ハガツオですね」
良型のハガツオが、姿を見せた。
ハガツオの釣果に、田中さんが元気倍増。
Sさんにも、アタリが来た。
「小さいですね」
オオモンハタが、姿を見せた。
今度は、船首で頑張っているBさんに、アタリが来た。
これも、真下に鋭く突っ込んでいる。
「ハガツオが来ました」
海面に姿を見せたハガツオが、丸々としている。
釣り上げたハガツオが暴れると、口から鰯が何匹も出てくる。
半分以上、消化された鰯だ。
「こんだけ。鰯を食べていれば、脂がのっているでしょう」
嬉しいハガツオの釣果だ。
私たちの周囲に、船が増えてきた。
ポイントを移動する。
移動の間にも、北東の風が少しずつ強くなっている。
北東からのウネリも、目線を越える高さに太り始めている。
「余り、長くは釣りが出来ないかも知れませんね」
ウネリを木にしながら、竿を出す。
Sさんにアタリが来た。
ウッカリカサゴが、上がってきた。
そのSさんに、強いアタリが来た。
「ホール中に来ました」
竿が、大きく曲がっている。
慎重に、やり取りが続く。
「何か見えてきました」
「鮫です」
ハンマーヘッドが、見えてきた。
「鰤かと思いましたけど……残念…」
針を切って、直ぐに海に帰した。
この鮫の釣果を境に、潮が動かなくなってきた。
一方で、北東からのウネリ幅が狭くなって、船の揺れも大きくなってきた。
「風もこれから、強くなって行くみたいですし、上がりましょうか」
昼前に、納竿とした。
別なところで竿を出していた、釣り仲間の脇坂さんから連絡が来た。
「小野さんが、ハタを釣りました」
チャイロマルハタの写真が送ってきた。
「何キロくらいある」
「7キロくらいです」
「初の大物です」
嬉しそうな報告に、私も嬉しくなった。